【WHOisMGMT? エムジーエムティーとは】
[MGMT] is
Andrew VanWyngarden(vox/g/ds)
Ben Goldwasser(keys/programming)
[touring band] is
Matt Asti (bass, backing vocals)
Will Berman (drums, backing vocals)
James Richardson (guitar, backing vocals)
2008年、アメリカにおけるニュー・カマーの中でも、際立った活躍を見せたMGMT(エム・ジー・エム・ティー)は、2002年コネチカット州ミドルタウンにて、ふたりの芸術大学生アンドリュー・ヴァンウィンガーデンとベン・ゴールドワッサーにより結成された2人組(現在はツアー・メンバーを入れて5人で活動を行っている)。2005年インディ・レーベルよりリリースしたEP『Time to Pretend』が話題となり、翌年メジャーのソニー/コロムビアと契約。拠点をNYブルックリンに移す。2008年1月、デイヴ・フリッドマンによるプロデュースで制作したメジャー・デビュー作『オラキュラー・スペクタキュラー』から3つのヒット曲『Time to Pretend』、『Electric Feel』、『Kids』を連発し、各メディアが発表する年間ベスト・アルバムとベスト・シングルに軒並み選ばれると同時に、新たなポップ・アイコンとしてクール(イケてる人物)・リストにも選出されまくり、世界を席巻した。また、ベック、M.I.A.、ジェイ・Z、ビヨンセ、ノエル・ギャラガー(オアシス)、ファレル・ウィリアムス、ポール・マッカートニー、ウィーザー、ケイティ・ペリーといった様々なジャンルのミュージシャンらが絶賛したり、DIPLOやジャスティス、ソウルワックス(2 Many DJ's)、ハイ・コントラスト、ペット・ショップ・ボーイズ、80KIDZら人気ダンス系DJ〜アクトが公式あるいは非公式にMGMTのリミックスを次々と発表したり、多くのヒップホップ系DJミックス・アルバムにフィーチャーされたり、実に幅広い著名ミュージシャンからの厚い支持を受けている。また、CONVERCE100周年キャンペーン・モデルとしてファレル・ウィリアムスと共に選ばれたり、Gucciのクリエイティブ・ディレクターであるフリーダ・ジャンニーニが自らプロデュースした最新のメンズ・ウェア・ファッション・ショーをMGMTに捧げたり(MGucciMT)、2009年秋にはフランスのファッション・ブランドPETIT BATEAUのイメージ・キャラクターになったり、ファッション・シーンでも大きく取り上げられ、ファッション業界やアート業界など各方面でシンパサイザー[共鳴者]が激増中。2008年8月のサマーソニックと、12月東京・大阪単独sold outツアーを敢行。
【2ndアルバム『コングラチュレイションズ』】
○大きすぎる期待に直面しながら「ただ楽しんで作った」という最新作はサーフィンと名声がメイン・テーマ
英NME誌をはじめ欧米や日本のメディアやウェブサイトでも年間No.1アルバムに選ばれまくり、世界中で絶賛されロングセラー化しているデビュー・アルバムに続く注目のセカンド・アルバム。
ロック・スター然とした存在に対しての皮肉などを歌ったヒット曲"Time to Pretend"で華々しいメジャー・デビューを飾ったものの、デビュー・アルバム『オラキュラー・スペクタキュラー』の大成功によって、自らが“そのような存在”になってしまったことに違和感を覚えていた彼ら。アンドリュー・ヴァンウィンガーデンは語る。「1stアルバムはあらゆる皮肉を込めた作品だったけど、今度の作品"Congratulations"にこそボクらの真の姿があると思えるんだ」。
アルバムは2009年を通して、ニューヨーク北部の郊外や、西海岸のマリブ、そしてバンドの拠点であるブルックリンで、ツアー・バンドのメンバーである3人を伴って制作が進められた。アルバム収録曲は全てMGMTの書き下ろしで、基本的にMGMTによるセルフ・プロデュースだが、作品には彼らの音楽的ヒーローとヒロインが関わっている。ひとりはサイケデリック・エクスペリメンタル・ミュージック界のカリスマでありMGMTが同年2月にロンドンのステージで共演したこともあるソニック・ブームが共同プロデューサーとして参加、 もうひとりはカルト・ファンを多く抱える元ロイヤル・トラックスのジェニファー・ヘレマがヴォーカルでゲスト参加している。また、アルバムのミキシングは、前作のプロデューサーでもあるデイヴ・フリッドマンが勤めている。
○迎合など一切しない刺激的なサウンドは、ひたすら攻めの一手!!
アンドリューはかねてから「今回は、(前作のように)"Time to Pretend"や"Kids"のようなシングルはない」と語っていた。「(前作のイメージを持って聴くと)ショックを受けるであろう作品だよ。みんなには“ラジオでかかるシングル”としてというよりも、アルバム全編を通して聴いて欲しいんだ。実際に今回は「どうしたらみんなにアルバ
ムを全曲聴いてもらえるか」という事に注力をしたんだ。パーティー・アルバムではなく、全曲を通して聞いて初めて意味が分かるヘッドフォン・アルバムになるのは間違いないね」。また、ベンが「前作では、雑な感じや“不完全さ”を残す事に自信が持てなかったけど、本作では『このテイクは完璧じゃないけど、味がある。二度とこんな感じには録れないからこれでいこう!』と言えるようになった。過去の作品、例えば60年代のものを聞くとミスタッチだらけだったりする。それこそが“ホンモノ”の瞬間を閉じ込めてるんだ」と言い、そしてアンドリューも「『2作目だから何かを証明しないといけない』というような事は一切考えなかったし、僕たちがただただ楽しみながらアルバムを作っているってことが見せられれば良いなと思っていたんだ」と言うように、本作ではさらに自然体で等身大の彼らを表現することができたようだ。
○「おめでとう!」には自分たちへの皮肉も込めている
アルバム・タイトルに関して、アンドリューによると、「1stアルバムを制作している時に、すでに次の作品をcongratulationsと呼ぼうと思っていた」という。「その時思ってたこととは意味合いが違うけど、とにかくこの言葉にこだわろうと思った。みんなは僕たち自身への“自画自賛”と思っているかもしれないけど、実はもっと腹黒くもあり皮肉でもあるんだ。でも音楽そのものは腹黒くもないし皮肉でもない。むしろ自分自身に正直で、シリアスになりすぎず、大袈裟にもなりすぎず、オープンなものだ。新作には誇りを持っているけど、1stほど話題にはならないと思う。それは僕たちが正直でかつ魂をこめて書いているからさ!さらに、年齢を重ねて、『電気ウナギ〜electric eels(前作のヒット曲『Electric Feel』のこと)』について書けなくなったのさ。いい意味でも悪い意味でもね(笑)」。
○レディー・ガガやカニエ・ウェストからのインスパイアもアリ
全9曲で構成された新作には、アンドリューがソニック・ブームとのレコーディングで滞在したマリブでハマったサーフィンと海からの影響が全体に流れているという(公式サイトにも海があしらわれている)。アルバムは、「サーフィンをやっててめちゃくちゃいい波に乗ったとき“It’s working!“って言うのさ。これはエクスタシーをやってサーフィンするみたいなヴァイブの曲」とアンドリューが語る"It's Working"で幕を開け、ネオアコ/インディ・シーンのカリスマ、ダニエル・トリーシー(参加の噂があったが不参加。ただしのちにライヴで共演)からインスパイアされたという"Song For Dan Treacy"や、「トランシルヴァニア(“ドラキュラ城”として知られるブラン城で著名なポートランドの地名)の聖堂みたいなところで(アムビエント・シーンのカリスマ)ブライアン・イーノを見出しちゃうような吸血鬼パンク・ロック・ソング」"Brian Eno"、「ロシア北極圏でのサーフィンという共通のテーマがあるものの、まるで8つの異なる曲をひとつにしたような」12分に及ぶ"Siberian Breaks"、また、部分的にカニエ・ウェストやレディー・ガガからの影響(名声の行き着く先というのはどういったものか、ということについて考え続けていたこと)も作品に込められており、「まるで悪夢のようなサウンド」のインスト・ナンバー"Lady Dada's Nightmare"などを収録している。
アルバムはキャッチーなアルバム・タイトル・トラック“Congratulations”で締めくくられるが、その曲は実は「名声」と世界的経済危機について歌われているのだとか。本人も言うように、自らのアートに皮肉〜サーカズムと問題提起を知的に込めるという“クセ“は健在であり、それもMGMTたらしめている点のひとつであると言えそう。
[アルバム曲順]
1. "It's Working"
↑サーフ・ヴァイブ全快ナンバー。「キタぜ〜!」みたいなカンジ。
2. "Song for Dan Treacy"
↑TVパーソナリティーズのダン・トリーシーに捧ぐ。
3. "Someone's Missing"
↑後半に向けてめちゃくちゃアガってきます。じわじわじわ〜
4. "Flash Delirium"
↑リード・トラック/お忙しいポストYouTube世代の方はまず2:08くらいから聴いてみてください。後半がキモ!!!担当者的には似たものとして映画「デスプルーフ」やバンクーバー五輪のキム・ヨナのショート・プログラムなどが思い出されました。その結末のために、その序章が必要だったのである!
5. "I Found a Whistle"
↑ライヴ・アンセム化必至。両手を挙げて聴きましょう。泣けます!
6. "Siberian Breaks"
↑ウワサの12分トラック。けだし美しい混沌です。
7. "Brian Eno"
↑前衛パンク・ロック。フリー・ジャズのふりかけ。
8. "Lady Dada's Nightmare"
↑名声を得てしまうと、人間、こんなんなる?「自分たちもおかしくなりかけたし、レディ・ガガやカニエ・ウェストほどのクラスになるとどうなっちゃうんだろう?」という想像や畏怖が込められている模様。カオティック・インスト。
9. "Congratulations"
↑エンディングにふさわしい(音楽的には)ピースなトラックだが、内容は名声と世界的経済危機について。そして、オチが…。
All songs written by MGMT
Produced by MGMT and Sonic Boom (Spacemen 3, E.A.R., Spectrum)
Mixed by Dave Fridmann
[日本盤 期間限定スペシャル・プライス\2,100(税込)]
・4/7先行リリース
・36ページ・スペシャル・ブックレット付!(日本盤のみ)
・ジュエルケース仕様
・解説・歌詞・対訳付
○MGMTはREBEL(反抗)だ。REBELとは、良心だ
前作と同様に、後半に向けて徐々にアゲていくカンジの曲が多かったりする点は、彼らが楽曲に物語性を重んじている面があるからだろうし、クラシックの楽曲のいくつかを彷彿とさせられたりもするし、また、おいしいところだけ瞬時にお手軽に楽しめる、といったような感覚が加速しているように見えるファストフード的ポストYouTube時代に向けてのカウンターとも取れなくもない。メンバーの発言にもあったように“シングル”だけピックアップされてデジタル・ダウンロードで聴かれるような時代に「いかにアルバム全体を通して聴いてもらえるような作品を作るか」ということに注力するあたり、ちゃんと反抗して(問題意識を持って)いて、とても立派だ。
[担当:ひろぽん]