プロフィール
AMERIE
本名:エイメリー・ロジャース
出身:ワシントンDC
ジョージタウン大学卒業
28歳(2009年)

<エイメリー・プロフィール>

エイメリーの誕生:絶賛された1stアルバム
2002年のデビュー以来、エイメリーは自分なりのニッチを開拓し続けてきた。彼女は、一定の枠に分類されることを拒む。エイメリーは、多彩な顔を持つ27歳の美女だ。シンガー、ソングライター、プロデューサー、女優といった言葉は、彼女を形容するほんの一部でしかない。「私は、世界市民なの」と冗談めかして語るエイメリー。「世界市民」という概念は、その家庭環境からも見てとれる。エイメリーは、韓国人の母親と、アフリカン・アメリカンの父親の間に生まれた。彼女の第一言語は韓国語である。“ミリタリー・ブラット(軍人の子ども)”を自認する彼女は、これまでにドイツ、韓国、アラスカ、テキサス、ワシントンDCで暮らし、世界中を旅してきた。幼い頃からエイメリーは、文化や地理的位置が違っても、人間には相違点よりも共通点の方が多いと考えていた。世界はひとつだという考えを持っていたのだ。

批評家から絶賛されたデビュー・アルバム『All I Have』は、音楽シーンに新風を吹き込んだ。小柄ながらも声量のあるエイメリーは、大きな注目を集めたが、アルバムの成功後まもなく、彼女は音楽業界でもほぼ前代未聞の冒険をした。2年の間、歌手を休業したのだ。「そのうち、演技にも挑戦したいと思っていたの。でも、まさかそんなすぐにチャンスが回ってくるとは思っていなかった。そして、このチャンスを逃すわけにはいかなかったのよ!」と彼女は打ち明ける。そのチャンスというのは、BETネットワークの新番組を作ることだった。『The Center』は、ミュージック・ヴィデオと、ティーンエイジャー/ヤング・アダルトの観客を中心に展開する番組で、エイメリーは同番組の司会を務めると同時に、制作面にも関わった。彼女の貢献により、同番組はその時間帯で史上最高の視聴率を記録する。最終回を収録した数週間後、エイメリーは再びカメラの前に立っていた。フォレスト・ウィテカー監督によるロマンティック・コメディ映画『First Daughter』に出演したのだ。この映画で彼女は、ケイティ・ホルムズやマイケル・キートンと共演した。しかし、撮影が終盤を迎える頃、音楽の虫が疼き始める。そして同映画の撮影終了から数週間後には、ニューヨークに戻って、新曲の制作とレコーディングに励んでいた。

『1THING』の大ヒット:大躍進の2ndアルバム
こうして完成したのが、極上のセカンド・アルバム『Touch』である。同アルバムからは、“1Thing”が大ヒット。翌年は、めまぐるしい1年となった。エイメリーは、グラミー賞2部門にノミネートされた他、レディ・オヴ・ソウル・アワードのアレサ・フランクリン・エンターテイナー・オヴ・ザ・イヤー・アワード、ASCAPのサウンドトラック・ソング・オヴ・ザ・イヤー、ヴァイブの“クラブ・バンガー・オヴ・ザ・イヤー”を受賞。そのエキゾチックな超美貌と100万ドルの脚線美で、ピープル誌の“最も美しい100人”にも選ばれた。さらに、2005年8月にはエイジアン・アメリカンとして初めてヴァイブ誌の表紙を飾る。そして彼女は、休むことなく疾走を続けるのだった。

「ずっと私は、音楽を作るのが大好きだったの。高校の頃、テープレコーダー2台にテープ2本を使って、自作の曲を録音してたわ。まずは曲を最初から最後まで歌って、1本目のテープにそのヴォーカルを録音するでしょ。そしたら今度はそのテープをかけながら、ハーモニーのパートを歌って、それを2本目のテープに録音する。最終的に、1本のテープにハーモニー、バックグランドを含めた全てのヴォーカルが入るまで、この手順を繰り返していた。こうやって曲を完成させていたの!」

再び最高傑作の登場:音楽制作へより深く関わった3rdアルバム
サード・アルバムでは、曲を書くだけでなく、プロデュース、アレンジも手掛けたエイメリー。長年のコラボレーター、リッチ・ハリソン、コリー・ルーニーらと距離をおき、自身による制作を積極的に選んだのもこんな過程があったからのようだ。彼女はデビューする前の時代を思い出していた。「私の中にはたくさんの音楽が生まれていたの。それを外に吐き出さなければならなかった。ヴォーカル・ブースの中では、じっとしていられない程だったわ。だって、あまりにも多くのメロディやハーモニーが浮かんできて、あらゆるパートのアイディアも考えついていたの。思い浮かんだことを外に出して、曲にしなくちゃ!って感じだった。頭の中で聞いた音を実際の曲にするのは、言葉では言い表せないほどに素晴らしい体験なのよ!」ニュー・アルバム『Because I Love It』を一聴すれば、エイメリーの創造性が一気に爆発したことが分かる。今作では、音楽シーンにおける彼女の独自性がはっきりと示されている。

「私にとって一番大切なのは、自分に忠実であり続けること。自分らしいサウンドでなければならないの。私は私でしかあり得ないし、他の人を真似する気もない。幼い頃から、人種から私を判断しようとする人達がいた。そして、この業界では、肌の色や性別、経歴を基準に、私が一定のカテゴリーに収まると考えている人達がいる。私はただ、自分がやりたいことをやり、作りたい音楽を作るって決めたわ」。エイメリーがアーティストとしてのキャリアをスタートした頃、その高学歴(彼女はジョージタウン大卒)が、レコーディング・アーティストとして不利になると考える人達もいた。エイメリーは直感的に、こういった考えを一蹴した。「そんなの馬鹿げてる!誰もが独自のストーリーを持ち、独自の道を進んでいるのよ。まるで、アンケート調査を突きつけられているみたいね。人は概して、他人を小さな枠にはめたがるもの。“ひとつに○をつけてください”ってね。本当は、どんな小さな枠に収まる人なんていないのに!」
自分のヴィジョンを信じ、自分自身を疑わずに音楽を作る。アルバムの制作過程で、それが難しくなることもあった。「私は、全く恐れを知らないような音楽を作りたかったけれど、それでもやっぱり最初の頃は、しきりに自問を繰り返してた。“この曲は、ちょっと〜しすぎかな?これって、ちょっと〜しすぎ?”って感じでね。でも、最終的には、“それでもいいじゃない!すごく気に入ってるんだから、このまま作ってみせる!”って決めた。音楽は、私の大部分を占めているわ。音楽は私の中に生きている。私にとって、音楽を作ることは息をすることと同じぐらい自然なことなの」。『Because I Love It』は、どんなカテゴリーにも全く収まることのないアルバムだ。多様な要素(70年代のソウル、80年代のニューウェイヴ、ヒップホップ、生演奏等)が含まれているが、そのサウンドには驚くほど一貫性があり、作品として完璧に筋が通っている。広いジャンルから音楽的影響を受けているものの、楽曲のアレンジは、エイメリーならではのものだ。力強くアグレッシヴなヴォーカル、美しいメロディ、豊かなハーモニーが織り成されている。再び最高傑作を届けてくれたのである。

3ndアルバムの珠玉の宝物
アルバムからのファースト・シングル“Take Control”は、愛に対してきっぱりとした態度を取っている楽曲だ。エイメリー、レン・ニコルソン、マイク・キャレン、シーローのプロデュースによる同曲には、きっぱりとした態度が漲っている。ファンキーなギターとホーンに乗せて、自信に満ちたエイメリーは、愛する男性に対し、主導権を握るよう促す。“Make Me Believe”は、カーティス・メイフィールドの秘蔵っ子、パティ・ジョーが1975年に歌った楽曲の見事なカヴァーである。タフで率直ながらも、スムーズなエイメリー。同曲は、キャデラック、フェドーラ帽、70年代の粋な態度を彷彿させる。エイメリーはこの曲の中で、フルートも演奏している。“Some Like It”は、マルコム・マクラーレンの“World’s Famous”をサンプリングしている。エイメリーとニコルソンが、空港へと向かう道中、オールドスクール・ミックスを聴きながら思いついたアイディアだ。「あのビートに乗せて歌ってみたら、難しいけどすごく楽しいだろうって思ったの。私達はアレンジを工夫して、最高にご機嫌な曲が出来たわ!」その歌詞とヴォーカルからは、エイメリーの自信に満ちた一面が窺える。そして、そのサウンドは、これまでの彼女の音楽とは全く異なっている。この革新的な楽曲は、スムーズだがハードでもある。この曲を聴くと、ある晴れた日、ローラースケートを楽しむ姿を思い浮かべずにはいられないだろう。

“Crazy Wonderful”は、セクシーな“ココア・ラヴァー(褐色の恋人)”にキスすることを歌った楽曲だ。同曲は、エイメリーが妹とリップスティック談義に花を咲かせている間に生まれた。「リップスティックをつけるのって、無意味に思える時があるの。だって、キスするたびに落ちてしまうでしょ。女性は常に、そのことについて文句を言っているから、それなら曲を作っちゃおうって思ったの!」“That’s What U R”は、おそらく『Because I Love It』の中で最もセクシーな楽曲だ。恋愛関係において、次の段階へと進むのを辛抱強く待ってくれる特別な男性に対して、エイメリーが称賛を送っている歌である。「女性は、自分が“そこへ行く”準備が出来た時には、自分でそれが分かる。なかなか時間がかかるかもしれないけれど、彼女の準備ができるまで待てるのは、特別な男性よ」

快活な“Crush”では、80年代のクールなエネルギーが呼び戻され、エイメリーは、せめて恋人との偶然の出会いが欲しいと歌う。もちろん、愛を語るには、その負の側面にも触れなければならない。心に残る見事な楽曲“Paint Me Over”は、性別を問わず、多くの人の共感を呼ぶ作品だ。「恋人と付き合うことで、自分自身を失うってどういうことかを考えた後で、この曲を書いたわ。自分自身を失うだけでなく、他人が自分を変えるのを許してしまうこと。つまり、愛する人が、自分を好きに染め直すのを許してしまうことね。そんなは、終わる運命にあるのよ」

高校時代、寝室でレコーディングをし、タレント・ショウに出演していたエイメリー。その後、スタジオで曲を作り、全世界で溌剌とパフォーマンスするようになった彼女は、『Because I Love It』で、自身の音楽に対する愛と感謝の気持ちを、さらに高いレヴェルへと引き上げた。トレードマークともいえるストレートでハスキーな、心のこもった歌声と、天使のようなファルセットを備えたエイメリーは、音楽シーンで最も多才なアーティスト、真心のあるシンガーの1人である。「何かやりたいことがあるなら、やってみるべきだってことを学んだわ。怖がってちゃダメ!自分自身をシャットダウンしてはいけないのよ。キャリアを追求するにせよ、本を書くにせよ、一般の人とは違った道を進むにせよ、とにかくやってみるの!」エイメリーはそういった姿勢でサード・アルバムの制作に臨み、傑作を作り上げた。単純にジャンル分けすることのできない作品を完成したのである。「これは、心からの音楽よ」とエイメリーは語る。「私が、心を込めて作った音楽なの」。

新たなスタート
2007年、エイメリーは世界第2位のケーブルTV“AXN”のキャンペーンにあたり、シングル「Gotta Work」がテーマソングに選ばれた。そのオファー金額は100万ドルと言われ、自身もキャンペーンアーティストとして広告に出演。アジア(香港、中国、シンガポール、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ブルネイ、スリランカ、タイetc.)をはじめ、世界数十億人の視聴者にリーチした。
2008年、長年在籍したコロンビアレーベルを離れることを決意、デフ・ジャムレーベルと契約を交わし、2009年、既に新天地で新たにレコーディングをスタートしている。