プロフィール
リサ・マフィアは1979年6月16日にサウス・ロンドンのダルヴィッチに生まれた。父親はアフロ・アメリカン、母親はUK育ちのイタリア系。このウソっぽい名字は本名で、リサの母方のおじいさんが由来だそう。家族構成は母と2歳年上の姉とリサの3人。あの一世を風靡したブロスは白人の従兄弟に仕込まれ、ソウルとレゲエはアシィィィィィドなレイヴ・パーティー・フリークのママから聞かせてもらって育つ。「全然ひどい生活じゃなかったわ。サウスロンドンのカウンセル住宅育ちだから、お金持ちではないけど、平均じゃないかしら。最新のスニーカーも持っていたし、ママは貧乏なことを感じさせないようにしてくれた」というとおり、父親は身近にいないものの、ホイッスルを吹きまくって楽しんでいた母親と姉妹との幸せな日々を送る。



やがてその環境に変化が訪れる。「大変な10代だった。暴力、ドラッグ、教育環境…」とリサは当時を振り返る。13歳であのソー・ソリッド・クルー(So Solid Crew/以下SSC)と出会い、メンバーとして加入(実際の初レコーディングは2000年の「Oh No」)。並行して歌のレッスンを受け始め(とはいえ、まだ趣味の領域だったようだ)、叔父の洋服屋で働きはじめる。その後数年間は、ブリクストン・マーケットのさまざまなお店で売り子として働くというゲットー育ちのレールをまっしぐら。働いたお店は、靴屋、リネン屋、酒屋、冷凍食品店などなど。小遣い稼ぎの仕事と並行して、写真・建築・アート/デザイン系の学校へ通いはじめる。しかし、高価な機材・道具が買えない理由ですぐ挫折。後に再び、プリンス・トラスト*の補助によって歌を勉強し始める。蛇足だがリサの学校の成績はよかったようで、カレッジでは結局アートデザインの卒業資格を取っている。



しかし、思いがけず17歳のときにリサは妊娠、そして出産を経験。わずか15ヶ月で父親と別れ、SSCのメンバーであり新たなボーイフレンドのGマン(最近関係は破綻、今は親友???)がリサのママと共に赤ちゃんの父親役となる。娘の名は、子供の頃リサが人形に名付けた名前チェルシーをそのまま拝借、Gマンが全てチェルシーの養育に必要なものを手に入れてくれたんだそう(ちなみに、SSCの「21 Seconds」冒頭の声はチェルシーによるものだ)。リサは家計を支えるべく、再びイギリスでは有名な大規模なファッション・チェーン店NEXTで働きはじめる。店から店へと異動に次ぐ異動、薄給、時間と自由まで奪われながらも、リサはシングル・マザーとして学校の送迎から躾といった母親の役割と仕事を両立すべく日々奮闘する。そんな折、「クルーが来て、“さぁ、リサ、やろうぜっ”て声を掛けてくれたの」。その後SSCの活動が軌道に乗り始める。SSCのリーダーであるメガマンは「デビュー前からリサはオレたちにとってずっと24カラットのダイアモンドなんだ。だから紅一点としてリサを押し出してきたのさ」と述懐するが、今ではUK国内の立派なヒロイン、セレブの一人として君臨している。







そんなゴージャスでゲットー・ファビュラスなリサ・マフィアは、大きな茶色い目が特徴で、小さくて、かわいらしく、かっこいいお腹がいかしてる。「私のファッションは一言で言えば“Street-Chic”。結構カジュアルだけど、グラマラスなのも好きだから結構ミクスチュアなのよね。ストリートなファッションが一番しっくりくるけど、ヒールにドレスってのも勿論いいわよね。ディオールのアクセサリーがお気に入り。基本ギラギラ金ぴか系は嫌いじゃないわ。私をもっと紹介するとね、バーガーやチップス、カリビアン・ライスとエンドウ豆、スプライトやレモネードが好きでしょ、尊敬するのはママね。愛読書は『不思議な国のアリス』。シガレットはシルクカット。趣味はチェルシーね。それ以外はSSCのメンバーとのハングアウト。音楽はいろいろで、昔からのソウル・ミュージックとかアン・ヴォーグ、イヴ、アリシア・キーズ、アリーヤ、ジェイ・Z、キャムロンなどがお気に入りだわ」。特にイヴは大のお気に入りのようで、そのサクセス・ストーリーもリサはリスペクトいている様子。



さて。SSCの大成功、オキサイド&ニュートリノの「No Good 4 Me」にも参加した後の2003年、デビュー・ソロ・シングル「リ〜サ!マフィア!(原題:All Over)」は4月21日に発売されていきなりUKチャート2位を記録。この曲はUKからのミッシー・エリオット/ティンバランド・プロダクションへの回答ともいうべき、SSCの十八番であるストレートでアッパーなパーティー・チューン。彼女たちの楽しく、馬鹿馬鹿しく、ヤバかったパーティー・ライフを反映した歌詞が綴られている。リサ曰く、“餅は餅屋”ではないが、「私はガラス屋じゃないから窓ガラスについては歌えないわ。女の子たちのためのパーティー・チューンね」ということである。「私たちのゴールを描いた」というPVも実にきらびやか。ディオール、ブランド、ジュエリー、フェラーリ、クリスタル・シャンパン、お金などを次々と礼賛、大フィーチャー。予算もたっぷりと使ったようだ。それもこれも、SSC、スタッフ、そしてリサのこのプロジェクトへの自信の表れであるからに相違ない。それに対してマフィアは、「当たり前じゃない。私は歴史に残るアーティストになりたいのよ!一番ほしいのはとにかく成功よ!音楽、家庭、他なんでもよ!」



その一方で、ソー・ソリッドには星の数ほどトラブルも多い。UKではそのセンセーションを1977年のセックス・ピストルズ以来と喧しい。それでもリサは仲間を擁護する。「私たちはみんな礼儀正しいわ。いいときも悪いときもいつも前を見てる。私たちは完全に家族なのよ。それにクルーは私を幸福にしてくれた。シングル・マザーのわたしにとってどれくらい今までサポートしてもらったことか。だから、有罪だろうがなんだろうが信じてるしサポートしてるの」。この団結力、絆の固い友情、これはどんな集団にとっても最も大事なことである。さらに、世間の烈しい批判に対してはエミネムを例に持ち出して反論を続ける。「SSCの場合とエミネムの場合ではルールが違ってるわ。彼を悪く言うつもりはないし、才能あるアーティストだと思うけど、彼はショウの一部としてチェインソーを使っているし、それが許されている。私たちがやろうとしたことよりもよっぽど悪いじゃない?白人だからオッケーなのかしら? そういった不条理をソー・ソリッドにいるといろいろ感じるのよ。私たちは自分たちのギグで、自分たちにはどうしようもない、知りもしない人が起こした銃の事件のおかげで中止にさせられたわ。間違っていると思うんだけど」



そんなリサと彼らの絆の結晶ともいうべきソロ・デビューアルバム『First Lady』は、普段からリサが従えているSSCを総動員して半年かけて完成させた。リサ曰く「私のアルバムがソー・ソリッドなのよ。私はグループのなかの‘ファースト・レイディー’なの」と言い切る。さらに続けて、「私のソロは私の物語が全て詰まっているわ。その反面、ソー・ソリッドのアルバムは暗かったかもしれない。でも仕方ないわ、当時はそんな世の中しか知らなかったんだから。今はもっとポジティヴなことを知っている。だから今回はいい感じのソー・ソリッドよ。とにかく全てがソー・ソリッド。でも私のことをみんなはSO SOLID CREWの一員として知っているけど、今回は私のメッセージをみんなに伝えたいなと思うけどね。とにかく私たちはみんな才能があるんだから、他の場所に行く必要なんてないわ。私のアルバムのあとにはソー・ソリッドの新作も控えているしね」



最後に、音楽もお金も名声も悪評も成功も全て必要だけど、リサには一番大切なのは7歳になる娘のチェルシーのことを。

「彼女はとってもいい子なの。サポートしてくれるみんなのために頑張っているけど、彼女のために仕事をしている部分もあるわ。さらに働こうってね。彼女のおかげで強くなれたと思うし。インタビューや撮影に連れてきても、チェルシーはじっと何かを書いたりしてる。音楽も好きで、いつも歌いながら踊っているの。チェルシーのことが一番心配。時間があれば彼女と一緒に歌やダンスの練習をしたり、水泳などのスポーツもするわ。勿論、自分で曲作りもしているけど。でも彼女は全てわかっているはず。それはGマンを父親だと今は思っているけど、生物学上の父親は別にいるしというなことまで。それに私はGマンとは婚約も解消してしまったし。本当は“結婚しようといってくれたらよかったのに”と彼には話したわ、“結婚しない婚約にどんな意味があるわけ”って感じでね…。とにかく彼女にはいい生活をさせたいわ。私とは違ってね」



*Prince's Trust…チャールズ皇太子主催のチャリティ団体による事業。収益金は全て英国中の仕事の機会に恵まれない若者たちのために使われている。新事業や地域ボランティア学業支援など英国の若者たちのために使われている制度。







<So Solid Crew(以下SSC)とは?>

 サウス・ロンドンを拠点とするMC/シンガー/DJ/プロデューサー/リミキサー集団で、Megaman/Asher-D/Mac/Kaish/G-Man/Lisa Maffia/Face/Scat-D/Harvey/Romeoなどの様々なキャラクターを擁する35人にも及ぶ音楽集団。98年頃から軌道に乗り始めると、瞬く間にUKクラブ・シーンを席巻、その盛り上がりは2 Step / UK Garageという新たなジャンルを生み出す。2001年には「21 Seconds」がUKナンバー・ワン・ヒットとなり、ポップ・シーンも制覇。同年のデビュー作『They Don't Know』もUK6位と大ヒット、一躍その存在は<2ステップ界のウータン・クラン>と呼ばれ、イギリス国内でも社会現象になり、MOBOアウォード、ブリット・アウォードなどを獲得。一方で、SSCの「ワル」な部分も折り紙付きで、その反社会的な行動が引き起こす事件、危険なゴシップも数多く、国会議員からは名指しで批判もされている。ソロに関しては、構成員のオキサイド&ニュートリノ、ロメオもデビュー、全てUKでは大ヒットを記録。ロメオは5月末には東芝からデビュー作をリリース、オリコン初登場53位、エアモニ・チャート1位と話題に。そして満を持してリサがソロ・デビューを果たす。今後もSSCのバラ売り戦略は続き、各キャラクターの人気をさらに高めた上で、新作でのさらなる成功を狙う。

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