PUFFY×東京スカパラダイスオーケストラ オフィシャルインタビュー

――今回のコラボレーションはリプトンの100周年記念バンドということですが、どうして東京スカパラダイスオーケストラの皆さんに声をかけたんですか?

亜美「単純にすごくスカパラが好きだからというのもあり。あとは、私たちがデビューしたころからもう同じ事務所で、スカパラの皆さんが先にいらして。2000年にリリースした『ブギウギNo5』からずっとつきあいはあったんですけど、結構着かず離れずの感じだったんですね。で、スカパラの皆さん全員で、まともに何かをやったということがなかったのでいつか何か一緒に出来たらいいなぁと思っていたのが叶ったんですよ」

北原「ありがたや、ありがたやー(笑)」

一同「わっはっはっは(大爆笑)」

NARGO「でもホントに嬉しかったですね。今まではメンバーの一部の人とコラボレーションだったんですけど、今回は全体でガッチリとってことでしたからね。やりごたえがありますよ」

――プライベートでもおつきあいはあったんですか?

亜美「谷中さんとは夜のおつきあいが……」

NARGO「……よ、夜のおつきあい(笑)」

北原「そう言うと誤解を招くから!」

由美「そうそう、ピンクなムードが漂うからね(笑)」

亜美「あ、そうですね。言葉が足りないですよね(笑)。夜のお酒の席でお会いすることはありましたよ」

――なるほど(笑)。「ハズムリズム」はNARGOさんが曲を作っていますが、PUFFYだからということで考えたところはありますか?

NARGO「PUFFYというものは完全に出来上がっているし、すごい強いものがあるので、僕らは僕らで強いものを当てていったほうが、より衝突した感じだったり、弾けるものが出来上がると思ったので、PUFFYに合わせてというよりもお互いに出し切るというほうが面白いんじゃないかと思いましたね。ただ、ひとつだけ、あえてやったということがありますね。昔からPUFFYを聴いていて思ったんですけど、アレンジにちょっとニヤっとする部分があるんですよ。仕掛けが!」

――PUFFYを熟知してますね。

由美「ま、NARGOさんは三人目のPUFFYですからね!」

北原「僕が4人目なんで(笑)」

NAGRO「……それでですね、メンバーの中で、それをやろうと。イントロとか間奏とか、ちょっとしたシャレを入れてます。“ん?”どっかで聴いた、っていうような(笑)。そんなのも楽しんでもらえたら」

――PUFFYのお二人とは作る前にそういう話はしたんですか?

亜美「いいえ。サウンド面はお任せしてあったので、楽しみながら作っていただければって感じで」

NARGO「みんなで、ああでもない、こうでもないって作り上げて、歌入れは二人に完全にお任せして。お二人のベストなものを唄ってもらおうと」

――レコーディングは別々ですか?

NARGO「オケ録りのときにお二人が来てくれて、仮歌を入れてくれたんですよ。それでだいぶまたどうしたらいいのかわかって、やりやすかったですね」

――そこからまたさらにアレンジももんだんですか?

NARGO「その段階で、もう大丈夫でしょうって確信もありましたね」

亜美「一度リハにも呼んでいただいたんですよ。その時はまだ歌詞も出来てなくて、でもいただいたデモテープ通りに歌詞を進めていたので、歌詞の構成だけは変えてくださるな……と強く念を押し(笑)。作っている側としては、ここでまたAメロに戻ったほうがいいよねっていうのがよくあるんですよ(笑)。歌詞を書く期限も短かったので、それはやめてください、と。そういうこともあったりしたので、出来上がりの感激はひとしおで……」

――そのまま歌詞もハマって。

亜美「はい(笑)」

――お二人で歌詞を書かれてますけど、テーマを決めて書いたんですか?

由美「テーマは秋で昼間で散歩する感じ。いっつも風景しか出てこなくて、こういうストーリーにしようねっていうのはないんですよ。テーマをちょっとだけ上げて、お互いが思う感じで書いて行くんですよ。だから、“あぁ、こう出るのか!”っていうのがあって、ぜんぜん違う二人が歌詞を書いているっていう面白さがあるんです。そう思いながら10年やってきました!」

NARGO&北原「はっはっはっは(笑)」

由美「基本、どっちがどこを書いているというのも秘密なんです(笑)」

亜美「スリーサイズくらい公表してないです」

北原「誰もわかんないんだよね。それはスタッフもマネジャーも、どこの1行をどっちが書いてるか」

由美「はい。そうなんです」

――「ぜんぜん違う二人が歌詞を書いている」ってさっきおっしゃいましたけど、すごくいい流れでストーリーになってますよね。

由美「それはもう、うちの亜美ちゃんが三度の飯より漫画が好きだからなんですよ。全部漫画みたいに、漫画みたいにって(笑)」

――(笑)実は、この曲を聞いてたら、この風景が浮かんできて、あまりにも幸せそう過ぎて涙が出て来たんですよ。

亜美「やだ〜ん 何か、甘いものを!」

由美「お寿司、おかわり!」(注)スタッフからの差し入れがお寿司でした

亜美「きびだんごも!」(注)スカパラのお二人のツアー先からのお土産がきびだんごでした

――ふふふ(笑)。でもホントに「ふたりして紅茶いれようか」ってこの一節にほのぼのしたと同時に、こういうごくふつうの日常のワンシーンの中にこそ幸せがあるなぁって思ったら泣けてきちゃったんですよね。

由美「もう、その言葉、亜美が言ったか、由美が言ったか、みたいな感じで書いておいてください(笑)。だけど、この歌詞はPUFFYにはあまりない、直球のどストレートだと思うんですよ。いつもダジャレ中心に生きてるもんで、そういうのを入れなきゃいけないって使命感にかられるんです。でも今回は案外わかりやすいというか、ストレートな恋の歌になったんじゃないかと思うんですよね」

NARGO「ストレートですよね、確かに」

由美「ねっ! ポッとしますよね。ポッとするからこそ、どこを誰が書いたのか言わなかったりするんですけどね」

亜美「ファンタジックなものを排除して、日常的なものに紅茶を絡めれればいいなぁと思って書いたんですよね。紅茶は特別なときのものっていうより、日常的に飲んでもらいたいものだっていうのをリプトンさんがおっしゃってたんで、なるほどなと。それで考えつく日常的な風景を……いや、違うなぁ……こんな日常過ごしてないや(笑)」

一同「わっはっはっは(大爆笑)」

由美「自分が思う、こんな日常過ごしたいなぁってことを書いた、と(笑)。最近忙しすぎて、空想だけはやたらと浮かぶので(笑)」

亜美「あぁ、空想だね、これは(笑)」

――だけど、すごく共感しますよ。「並んだ影見てるだけで 胸がキュンと鳴りだして」とか「頑張って」なんて言わないところが好き」とか、「あぁ、あるよなぁ」って。

由美「二人ともね、少女漫画の見過ぎなんですよ(笑)。人生の8割くらいを漫画からいろんなことを得ていますからね」

NARGO「でもホント、情景の浮かぶ歌詞だよね」

亜美「あとできびだんごあげます!」

――演奏もハッピーなオーラがめちゃめちゃ出てるじゃないですか。だから聞いててさらにハッピーになるんですよね。

北原「そうそう。演奏はイケイケなんだけど、歌詞の世界と二人の声質の感じ、唄い方の感じのケミストリーが面白い感じになったかなと思いますね」

――二人の声も笑顔で唄っている感じの声ですよね。

亜美「レコーディングのときもすごい笑ってましたよ」

由美「笑って唄おうって言ってたっけ?」

亜美「そうそうそう」

由美「ものっすごいニコニコして唄おうかって唄ったので、ハタから見たら、すごいヘラヘラしてたと思うんですよ」

――途中でレゲエ調になりますよね。歌詞は秋の世界なのにレゲエなんですね。

北原「やっぱりレゲエは夏のイメージなんですね。私たちは一年中レゲエなんですよ」

――この場面では歌詞の世界観もちょっとだけ変わって、まさに場面転換ですよね。

亜美「ここはリハのときにどなたかが、“グッとくる感じだよね”なんて言ってたんですよ」

由美「そうそう、泣かす感じでって言われてすごいプレッシャーで」

亜美「そんな情報いらねーって(笑)」

NARGO「そうだったかもね(笑)。ここでリズムが半分になるから、泣ける感じだよねーなんて。それがプレッシャーだったんだね」

亜美&由美「うんうん(うなづく)」

――いや、しかし、いいコラボレーションになりましたね。

北原「うん。なんかね、非常にいいもんが出来た。面白いというか、サウンドも歌詞の感じと歌の感じと声質の感じと、スカパラ的にも今までになかった感じがしますね」

NARGO「新しいよね」

――スカパラはいろんな方とコラボレーションされてますけど、こういうカワイイ感じってなかったですもんね。

北原「そうですね。女性は最近ではCharaさんくらいですからね」

NARGO「歌詞をPUFFYが書いてるでしょ? ここまでガッチリ、フィフティフィフティでやったことはないんですよね」

北原「しかも音の上がり具合が新しいんだよね」

NARGO「ホントに良かった」

――PUFFY的であり、スカパラ的であり、どっちにも寄ってるけど寄ってない。

NARGO「うん。すごい醍醐味があった」

――1曲だけっていうのがもったいない……もっと聞きたいですね。

亜美「キタッ!」

北原「来たよー、そこはもう皆さんの応援次第でね!」

由美「たとえばですよ、50万人の人が……いや、30万人でもいい、その30万人の人が『ハズムリズム』を聞いて、歌詞カードを見ながら泣いていただけたとしますよ。そうすると、まぁホラ、第二弾? 『モットハズムリズム』なのか、『ゼッタイハズムリズム』なのかがあり得ないわけじゃない。ここで多くの人に聞いていただくと、『モット〜〜』『ゼッタイ〜〜』が出来るかもしれない。『ダンダンハズムリズム』とかね(笑)」

――『ハズムリズム』シリーズ、ぜひやってください(笑)。で、PUFFYとスカパラの二組でライヴも行うそうですね。

北原「そうそう。11月1日、紅茶の日にね」

由美「世界的に有名な日ですよ!」

――(笑)まだまだ先の話ですけど、ライヴの内容について考えてらっしゃいますか?

由美「まぁ、100%この曲はやるでしょうねぇ(笑)」

北原「逆にやらなかったら凄い(笑)」

由美「これをやることも初めてなので、こっち側も楽しみだなぁと思いますよね。レコーディングでやったっきりなので。一緒にライヴでやるってことが楽しみなんですよね」

NARGO「完成したあと、一緒に音を出してないもんね」

亜美&由美「うんうん」

――それこそスーツのメンズたちに囲まれて唄うのは圧巻じゃないですか?

亜美「素敵よね?」

由美「うんうん」

北原「ちょっと……オヤジ……臭いですけどね(恐縮)」

一同「ははは(笑)」

――コラボレーションって、ライヴで一緒に演奏して初めて曲が完成するって感じがしますね。

北原「そういうのはあるかもな。スカパラの場合もそうだもんな」

NARGO「ありますね。やっぱりライヴで初めてみんなで一緒にやる曲ってテンション上がるんですよ」

北原「お互いにそうだよね、きっと」

亜美「ライヴで成長する曲みたいなのもありますしね」

NARGO&北原「うんうん」

――じゃあ、リハーサルから楽しみですね。

亜美「ですね。また向かい合うんですかね?」

――向かい合う?

亜美「リハのときはスタジオの大きさもあるので、向かい合ってやるんですよ。それが斬新で」

――へぇ〜。なんか意気込むというより、楽しむという感じのライヴになりそうですね。

一同「うんうん(うなづく)」

――最後にそれぞれの近況を聞かせてください。

亜美「PUFFYは東海岸ツアーを終えて、そのあと夏フェス三昧でしょ。これが出る頃にはレコーディングをしたりしているはずです」

――アニメ「働きマン」の主題歌を唄うんですよね。ユニコーンの「働く男」をカバーするとか。

由美「はい。今年はそういうのもやりつつ、期間を長く、いろんな曲をレコーディングをしていこうかなって思っているので、暇さえあればレコーディングをしている予感がしますね。たぶん集中してガガガってやるより、分けてやっていくほうが歌詞を書くにもいろんなカラーが出ると思うので。それが今年から来年。その間にもまたいろいろ出来たらいいなぁと思います」

――スカパラの方は?

北原「6月に出た『WILD PEACE』というアルバムを引っさげてのツアーが12月の上旬まで続くんですよ。その間にはヨーロッパも挟んで。今回は初めて行くところもあるんですよ。」

由美「すごい長いですね!」

亜美「見に行こっ!」

由美「うん!」

北原「亜美ちゃん、お父さんも呼んだらいいじゃない」

亜美「そうですね」

――それはどういうことですか?

亜美「うちの父がスカパラのライヴをいつか見たいって言ってるんです。だから11月1日にも東京に来ることが出来れば、同じステージに立っている姿を見てもらえるんですけどね」

――親孝行になりますね(笑)。

亜美「“亜美、やったな!”って言われるかな(笑)。言ってもらえたらいいなぁ」

一同「はははは(笑)」

文:大橋美貴子