ひとりの音楽家としては勿論、ひとりの“人間”としての成長過程を大切に積み重ねていった、それぞれの2年間。
そしてそれは、“MARIA、という名の運命共同体”の絆をより深めるためにも、そしてさ更なる飛躍を目指すためにも、必要不可欠な時間と経験だったのだろう。『Day by day』――――ここには6人の確かな進化と深奥な思いが、いっさいの揺るぎなく刻み込まれている。この作品集の完成に至るまでの心の内と歩み、そしてアルバムの全貌を、メンバー自身が真っすぐな言葉で語ってくれた。
その“大切な言葉”を、前後編に渡ってお届けしよう。

text by 竹内美保

――――応援してくださっている方々が待ち望んでいた2ndアルバムが、遂に完成しました。
まず、この2年強の期間、どういう心持ちで自分達と向き合ってきたか、どういう姿勢で楽曲作りに臨んでいたかを教えてください。
舞衣子 「アルバムのことをしっかりと考え始めたのは去年の12月ぐらいからなんですけれど、そこに向けての楽曲制作は
“さよなら大好きな人”をリリースした頃からスタートさせていたんです。ただ、曲作りで壁にぶつかったりしたこともあったので……
自分達が何を表現して届けていくか、というところで悩んでしまって」
――――そこはみなさん自身が求めるクオリティが高くなればこその“壁”、なんでしょうね。
TATTSU 「私個人で言えば、やっぱり“いいものを作ろう”っていう意欲が高まれば高まるほど、逆にスランプに陥っちゃったんです。
でも、そういう中で、デビュー当時に作った作品を改めて客観的に聴き直してみた時に、その頃は自分の中から出てくるものを
素直にそのまま曲にしていた、ということを思い出して。そこで、“いいものを!ということばかりを意識するのではなく、
自分の中から自然に出てくるメロディや言葉を大切にした曲作りにしよう”って、気持ちを新たに切り換えたんです。
それ以降は楽しく、自分のペースで曲作りができるようになりましたし、
この2年という期間は、そういう精神的な面で大きくなれたかな、って思います」
SACCHIN 「この2年間の中で、愛華とれいなが学生ではなくなった、というところがMARIAの中での一番の大きな変化だったんですけれど。
そこでバンドと向き合う時間が増える、メンバー同志が向き合える時間が多くなる、という環境ができていって。
そういうところからの関係性や現状が、今回のアルバムの曲や詞にも表れている、と思います」
――――より密なコミュニケーションをもって、絆を深めていった時間でもあった。
全員 「はい。そうですね」
れいな 「より音楽を知る、より音楽に没頭する時間が増えて。学生として過ごしていた時間が空いたので、
その時間もとにかくMARIAのことを考えるようになりました。そこでプレイヤーとしてのそれぞれに対しても考えるようになったし、
MARIA全体に対しても更に探求するようになって……それによって気づいたことを、細かいところまで率先して
メンバーに伝えることができるようにもなれた、と思います」
愛華 「時間的にも精神的にも余裕は出てきたんですけれど、私自身は個人的なところで
全てを後ろ向きに考えてしまいそうな時期もあったんです。
MARIAの中での自分の存在価値、ということも考えたりもしましたし。でもそういう時、いつもメンバーが支えてくれたので……
改めて自分の中でのMARIAの大きさを感じたり、“自分らしくいることの大切さ、自分らしくいられることがどれだけ幸せなことか”
ということに気づけて。それがあったからこそ、歌詞も自分の心の中を素直に書けるようになったと思います」
あゆか 「普通は言葉にできない自分の思い、そこに向き合っている気持ち……
そういうものを曲や歌詞にして、音楽を通して表現できれるように最近なってきたんですけれど、私は。
それも、メンバー同志で向き合ってきたことにプラス、いろいろな人と出会ったり、いろいろな現実に向き合ってきた中で、
たくさんの愛をすごく感じられたからなんです。私にとっては音楽に本当に助けられた、音楽はなくてはならないものだ、って
改めて感じた2年間で。だからこそ、自分達が音楽に込めたものが聴いてくださる方に伝わるのだったらすごく嬉しいし、
それによっていろんな人達の助けに少しでもなることができれば、ということも思いました」
SACCHIN 「この2年間、私は人の心のあたたかさ、脆さ、そして命の大切さを思い知らされて。そこでやっぱり支えてくれたのは、
MARIAのメンバーと音楽だったんです。そして、それによって音楽に対する思いがより深まったし、“気持で音楽を伝える”ということの
大切さも改めて感じられたので、更にポジティヴに進めるようになってきたと思っています」
――――ものを創る人って、表に出ていることが全てではないじゃないですか。目に見えないものが創造力に繋がっていって、
そこからやがて“素敵な何か”が生まれてくるというか。そしてそれは、ひょっとしたら“自分そのもの”であるかもしれないですし。
舞衣子 「舞衣子という人間は“音楽”っていう心臓で成り立っているんだな、ということをすごく感じるようになっていて。
そういう中でも、本当に音楽とMARIAの大切さ、メンバー内の絆を強く感じることができたんです。
それが今回のアルバムにも繋がっていった、というのはすごくあると思います」
――――でも、けっしてヘヴィだった状況が表れているわけではなく。しっかりと楽曲本位で作られたアルバムになっていますよね。
よく歩みを整えて、ポジティヴな形で思いを作品に転化できたな、とは思いますが。
あゆか 「それはMARIAとして目指しているものがあったから頑張れた、と思います。MARIAは常に前向きでありたいし、
MARIAの自分はしっかりとMARIAとしてやっていきたい、という思いが常にあったので。
そういう気持ちがあったからこのアルバムにもちゃんと行き着いたんだな、というのはすごく感じます」

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