MARIA「ゆらり桜空・・・」スペシャルインタビュー : 前編

――今回のシングルが決まるまでに、リリースの期間が少し空いたわけですが。その間、いろいろと紆余曲折もあったように思われます。それは“ファーストアルバムを作り上げたあとにどう進むべきか”という進化の過程でもある、ということだと思うのですが。そこでまず“次”を考えた時に何を思い、考えたのか、、、、、、を聞かせてください。
あゆかファーストアルバムの1枚の中ではいろいろなMARIAを見せることができた、と思うんです。いろいろなジャンル、詞の世界に挑戦したことで、私達自身もまた違ったMARIAを発見できたし。だから次は“MARIAらしさ”をもっと確立していきたい、と思いました。曲のジャンルは絞らなくていいと思うけど、詞の伝え方だったりメロディとかはMARIAでしかできない表現を自分達で見つけていって、それを追求していきたいな、って。
舞衣子今、あゆかが言ったように、“MARIAらしさ”っていうか“これがMARIAだ!”っていうものをまだ確立できてないな、と私も思っていて。『You Go!〜』の時は“これが今のMARIAです”って言えるものを作ったんですけれど、時間が経つにつれて“MARIAという芯、をもっと太くしていきたい”と思ったんです。いろんなジャンルの曲をやるのもいいんだけど、その中に“あ。ここは絶対MARIAだよね”っていう部分を1曲の中に必ず刻み込んでいきたい。
――確かに楽曲のバリエーションはあって、いろんな方向性を試してきた七変化的なところはあるけれど、それは初期段階のやり方という気はします。その先はやっぱり芯が1本通ってないと、器用貧乏になる危険性も。
愛華そうなんですよ。MARIAとしてどういう曲をやったら、いちばんMARIAらしいだろう、、、、、、って考えると、私の中では「HEY×02♪ブン×02♪」を演っている時がMARIAのパワーがいちばん全開で出ている、と思うんです。だから、詞の世界観は別として、ジャンル的には「HEY×02♪ブン×02♪」のような曲をもっと増やしていきたい、と考えてます。あと個人的には、歌に関していろいろ考えたことがあって、アルバムではいろんな曲に挑戦したんですけど、“どれが自分にあった歌い方なのか”“この曲にはどういう歌い方が合うのか”っていうのが、自分の中で全然整理できてなかったんですね。でも、あとでアルバムを客観的に聴いたり、ツアーで歌っていく中で、その整理できてなかった部分をどうするべきか、っていうのがわかってきたんです。だからそこを自分の中で考えながら、歌に対しての追求をもっと深めていきたい、と思います。
れいなこれからもっと曲をたくさん増やしていくべきだ、とすごく思っていて。みんな1日を過ごしている中で、それぞれいろいろ感じたこととか感じた風景とかがあると思うんです。それを個々にフレーズにしていったら、6人それぞれの色が出てくるし、それを組み合わせていったら、また新しくていいものができるんじゃないかな、って。だから、そういうところももっと考えながら何か新しい形を作っていきたいな、みたいなことは考えていました。
――この期間で、実践も?
れいなはい。フレーズを考えたり、曲作りも頑張ってやっていました。
――では、TATTSUさん。
TATTSUアルバムを1枚作って、ヴォーカルふたりの声にすごく特徴がある、っていうのを改めて感じて。もっとふたりのヴォーカルが生きるようなメロディを書いていこう、というのがまずありました。あと、歌詞の世界観をもっと幅広い年齢の人に共感してもらえるような言葉の選び方をしたいし、もっと今の自分たちのリアルな世界観を出していけたらいいな、とも思いました。愛華とれいなのふたりももうすぐ高校を卒業して、全員社会人になるので。全体的な方向性としては、ヴォーカルふたりの声質もどんどん変わっていくので、いろいろな曲を作って、歌ってもらって、、、、、、勿論、演奏の部分でもそれぞれの楽器の良さを活かすことを考えながら、もっと自分達のスタイルを確立していきたい、と思います。
SACCHINアルバムを出してツアーを周ったあと、私は逆に“MARIAらしさ、っていうのは何だろう”って考えて、MARIAを研究してたんです。ずっと。自分達のライブDVD(メンバー、スタッフの資料用に制作されたもの)を擦れるぐらい観て、同時にいろんなジャンルの音楽を聴いて、、、、、、、洋楽から民謡系まで(笑)。でも、まだいまだに“MARIAらしさって何だろう?”って、、、、、、探している旅の途中、ですね。
――達成感ののちの反省点、を踏まえて考えてきたことがいろいろあったわけですね。で、その中で次のリリースに向けての焦点を絞っていった、ということだと思うんですけれど。まぁホントにいろんな情報が、、、、、、“冬にリリースらしいよ”とか“あの曲らしいよ”“いや、また新曲作ってる”とか、、、、、、。
全員アハハハハ!
――実際、本当のところの創作、制作の状況や進行っていうのはどんな感じだったんですか?
舞衣子ホントはツアー終わってからたて続けにシングルやDVDとかを出して、“ヘイ、今年も終わったぜ!”みたいな(笑)勢いでいけたら良かったんでしょうけど、“出さなきゃいけない”とか焦って世の中に出すものじゃないな、と思って。あと、自分達のまだ音源になってない曲の中から出すのもいいけれど、今自分達が思っている想いを、 ちょっと時間かけてでもみんなに伝えられる、届けられるのがいいんじゃないかな、とも思ったんです。勿論、いろいろ考えていく中で、、、、、、。“や。この曲出そうか”っていう話にもなったし、それに向けていろいろやってみたんですけど、でも“やっぱり違う”って。それで突き詰めていったら、この「ゆらり桜空・・・」っていう曲が出てきて、“あ。この曲でいこう!”っていうことになったんです。やっぱり自分達の想いがすごく詰まった曲、自分達の中でも自信があるものを皆さんに聴いてもらいたかったんですよね。
――その“いろいろやってみたけど違う”っていうのは、何が違ってたんでしょう? ライブでずっと演っている曲、プリプロ的にある程度まで進めていたものも、その中にはあったと思うんですけれど。
あゆかまいちんも言ったように、自分達の中でも1曲1曲をせっかく大切にしてきたのに、それを焦ってみんなに届けたら、、、、、、そこに焦りも一緒に入ってしまって、果たしてMARIAの気持ちが本当にこもったものが届けられるのか? っていうのもあったし。大切にしてきた曲だからこそ、もっとじっくり考えたうえで出したほうがいろんな人に聴いてもらえるのかな、っていうふうにも思ったし。だからいろいろ考えた結果、“それは次、また頑張ろう。今は今のMARIAを出せる、新しい曲を作ろう”ってなったんです。
舞衣子“この時期にシングルを出したいね”っていう未来への目標はありますけど、それが全てじゃない。自分達から出てくるものだから期間とかに惑わされるのはイヤだな、って。
――葛藤とかはなかったんですか?
愛華前向き、だと思うんですよ。6人とも。だから、焦ってる気持ちとか葛藤よりも“もっといい曲がきっとできるから、じっくりやっていこうよ”っていう考えなんですよね。
れいなやっぱり“今のMARIA”を表現したかったし、伝えたかったから、これだけ時間がかかったんだと思います。いろいろな曲が候補に挙がってきたんですけれど、それが今のMARIAかな、って考えたら、“やっぱり違う”って。それで、そこからまたいろんな方向性を考えたうえでやっと生まれた曲だから、“今のMARIAがいちばん聴ける曲”だと思います。この曲は。
――タイミング、ってひとつありますよね。少し寝かせて熟成させたほうがいい曲、のちのちに出すと若過ぎる曲、、、、、、。発表するベストなタイミングも、いろいろあって。でも、今現在のMARIAのスタンスを考えると、作ってからリリースまでのタイムラグがないほうがいいのかもしれませんね。新しく生まれた“今”をフレッシュなうちに、届ける。
全員うん。そうですね。
れいな日々少しずつでも成長できている、っていう実感がこの楽曲の制作ですごく感じられたし。その成長の瞬間と新しい表情がそのまますぐに届けられる、っていうのはすごくいいですよね。
文:竹内 美保

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