「マボロシのシ」全曲解説

アルバムの詳細はコチラ

01 マボロシを聴きながら

日本のポップミュージックには「まぼろし」という単語がすげーいっぱい出てくるので
前々からそれを使ってなんかオモロいことできないかなーと思ってました。
杏里さんの『オリビアを聴きながら』のそれは、その中で最も印象的なヤツだったんで
メールで御本人にお願いし、ループさしてもらっちゃって、バッチいビートも重ねちゃったりなんかして
イントロ曲に仕上げてしまいました。
なので今回のアルバムは杏里様のお声からスタートします。わはは!
微妙な長さは、LIVE時のバンド入場曲を想定してのことです。
初っ端から突拍子もなくてヤバし!

02 雑種犬

アルバムオープニング曲。今回のアルバムの裏テーマ曲でもあります。
生物学用語に「雑種強勢」というのがありまして、
品種改良などにおいて、異なる種同士で掛け合わすと、次の一代に限り、
両親を超える性質を現すことがあるという意味らしいです。
「ヘテローシス」などともいうらしいです。
マボロシっぽいと思いましたが、なんかむつかしー語感がマボロシっぽくなかったので
ワンちゃんのはなしにしときました。
ちなみにオレは戌年です。
せくしーはチワワに似ています。展開部分がヤバし!

03 あまいやまい feat. 椎名林檎

これはタイヘンな曲です。以前から彼女とは共演してみたいとは思っていたのですが
そんなんありえねーはなしだったので、オッケーもらった時は正直焦りました。
ずっとメールで曲の構想のやりとりをしていたのですが、コード進行や構成の提案など、
そりゃもう熱心に取り組んでいただき、カンドーしましたYo!
レコーディングで初めてお会いしたときは、もしかしたら今までで一番キンチョーしたかもしれん。
あー、色っぽかった…。
彼女は自分のキャリアの中でも出会ってもっとも感銘を受けた人物のうちのひとりになりました。
せくしーのギターリフの痙攣具合もヤバし!

04 ジェイラップ

HIP HOPのスタイルに「サウス」ってのがありまして、ブーンブーンいってるバスドラムと
チープなハンドクラップと頭の悪そうなラップが特徴的なのですが、
せくしーそういうの大好きで、おれらもやるべということになりました。
内容は実はたいして「Jラップ」批判やディスめいたことは一切申しておりませぬ。わはは!
「オレがオマエの嫌いな『チェケラッチョー』だぜ!」ってくらいのもんで。
タイトル、フック、ヴァースなど、ほぼ神懸かり的に天から降りてきました。
アウトロのせくしーによるスクラッチがダサヤバし!

05 記念日 feat. さかいゆう

ゆうとは以前からいつか是非コラボしたいと思ってて、プリプロ時にもウチまで来てもらったりして、
3人でワイワイ無邪気に音楽遊びなどしました。
その時出来た楽曲は今回のアルバムには未収録ですが、また違った形で世に出るかもしれません。
んで、この曲はまた別日にスタジオに入り直して、ゆうの弾いたメインテーマに沿って
ほとんどセッション的に作り上げて行きました。
ゆう曰く「ディアンジェロ + Jポップ」。マボロシに新たなテイストをもたらしてくれました。
オレとせくしーとの共通見解、「アイツはやっぱ天才」。
既婚、未婚に限らず、倦怠期を迎えたカップルの応援ソングになればと思って作詞しました。
サビのキラキラ感がヤバし!PVもアホでヤバし!

06 Music Is Mine feat. Crystal Kay

打って変わってアルバム1のハード・ロッキン・ナンバー。
そもそもクリちゃんにド・ハードなROCKをやらせてしまえというところからスタートいたしました。
彼女とは今やツーカーの仲。この手の楽曲をぶつけてみることによって
逆に彼女のソウルフル度が増して輝き、ROCKとR&Bの
ルーツにブルースがあることを再確認させられました。
「音楽はメディアや企業の販促物じゃねーんだ!オレたちの手に取り戻せ!」
前々から感じていたことを詞に託しました。
それにしても彼女のヴィブラートは繊細で美しいです。日本一です。
せくしーのギターソロが本作もっともヤバし!とせくしーが言ってました。

07 なんとかなんのさ

この曲は昨年のせくしー結婚パーティーのサプライズのため
キーボードYOSHIくんと二人で作り始めたものです。
美しく感動的な曲に仕上げることも出来ましたが、
やはりそこはマボロシ流儀で、ゴスペルチックにアガれる曲を目指しました。
昨今のプロポーズは「キミを一生幸せにするよ」的なヤツらしいですが
昭和の昔は「オレと一緒に苦労してくれないか」だったといいます。
しかし竹内夫妻の顔を思い浮かべていたら、こんなタイトルが降って湧いてきたのでした。
「だーいじょーぶだって!なんとかなるって!」
こんくらいポジティブ・シンキングでないとこのご時世、結婚なんて出来やしません。
でもそんな等身大の未来こそが本当の幸せなんだみたいなメッセージ、汲み取っていただけると幸いです。
YOSHIくんのピアノとオレのウタのエモり具合がヤバし!

08 You Gonna Get Yours

竹内ソロ曲ですが、ワタクシめが解説いたします。
まず驚かされるのは、彼のラップが無茶苦茶上手くなっていること、
そして、
「ユゴナゲッチャー!」
この一言を口から発したいが為だけに作られた曲であるという点です。
小学生か!
せくしー、今一番やりたいことはソロ・ラップアルバムを作ることらしいです。
しかしながら、せくしーはギターにも通ずることですが、
「味はある」否、「味がある」。
これ非常に大事!スキルはあっても無味乾燥なラッパーなんて腐るほどいますからな。
ギター引っさげながら韻を踏むアーティストってのは世界的に見ても珍しいでしょう。
ギターに歌わせたフックがヤバし!

09 ワンモアヴァース

これに関しては多分他では語られることがないと思われるので苦労話を一つ。
オレって結構いわゆるFAST RAP得意としている自負があったのですがこれは難航したな!
録りには相当時間がかかりました。
途中ラップのメタファーなのか愛の営みのメタファーなのか混乱することもしばし。
結果『SLOW DOWN!』(早いオトコ)と真逆(遅いオトコ)な曲に仕上がりましたヨ。
しかしこの手のFUNKYかつILLなカッティングをやらせると、
この日本でせくしーの右に出るものはいないでしょう。「わっしょいわっしょい」がヤバし!

10 今宵の晩ごはん

最後の最後に遊びで作った割にみんな反応するこの曲、
内容はほぼオレと竹内くんの食生活における実話です。
せくしーは2ヶ月ほど嫁に聴かすのを躊躇しておりました。
制作過程は日記に詳しく載っているのでそちらを参照のこと。
それにしても皆さん、特に同棲を経験したことのあるプルカツたちは
食卓におけるトラブルが多かったようで、御愁傷様です。
DJ大自然の摩擦テクがヤバし!ヤバしヤバし!!

11 日本の親父 昭和の親父 feat. KOHEI JAPAN

言葉が足りず混同されがちなのですが、ここで歌われているのは3年前に亡くなった
オレとKOHEIにとって親父代わりであった叔父さんの話です。
『ラブシック』の時に歌うことも出来たのですが、
ちょっと冷却期間を置いて、俯瞰して書こうと思い、今作の収録となりました。
非常に私的なストーリーですが、年をとれば取るほど、
出会いもあれば、悲しいですが別れもあります。
みなさんが失った大事なひとと重ね合わせて聴いてくれれば幸いです。
それにしても!
竹内くんはエグいFUNKナンバーも得意ですが、この手のメロウネスも
やらせるとハンパなし!せくしー裏十八番といったところでしょうか。
そして!さかいゆう曰く「彼は自分のアコギとの相性の良さに気付いてんのかなー」ってくらいKOHEI JAPANがヤバし!

12 セクシー

アルバム制作終盤、ハードナンバーがもちっと欲しいというオレのリクエストに応え
せくしーが上げてきたこの曲のデモをスタジオで聴いたとき
その場でフック書いちゃうくらいアガりました。
内容はツアーやイベントでの出番前のリアルな楽屋風景。
前回のツアーがなければ生まれなかった曲です。
特に、ライブハウス然としていた広島、札幌あたりのことを思い出しながら一気に書き上げました。
LIVEではみんなで「Heyセクシー! 甘いんじゃね?」の部分、合唱でお願いします。
逆ギレ気味にワイルドなソロをぶちかましてくれることでしょう。
実はドラムの打ち込みもけっこうヤバし!

13 ヒーロー

まじめなはなし、 オレがこのユニットで最も歌いたかったことはこれなのだと思います。
説明的になっちゃうかもしんないけど、
人は最初に憧れの人物がいて、追いつき追い越そうとするんだけど
その人にはなれない現実に直面し、挫折を味わう
その先に「らしさ」を見つけられた人が次のスターになる
つまり「ヒーローになれなかった人だけがヒーローになれる」
「ナンバーワンよりオンリーワンを目指せ」
「はみ出た部分がお前自身だ!」というメッセージを込めました。
オレが20年近くマイク握ってきて到達した信念でもあります。
おれたちはここまでやってみせたぜ、次は誰がオモロいことやってくれるんだ?
みたいな思いも込めて、ラストを締めくくりました。
トラックとサブジェクトが別々にあったとき、せくしーが出会いを作ってくれました。
ちょっとひん曲がってるけど、オレらからみんなへの応援歌です。
次作のハードルが上がってしまってヤバし!

以上、マボロシMC坂間大介による『マボロシのシ』全曲解説でしたっ!
アルバムの詳細はコチラ