New Album『Very』セルフライナーノーツ

01

I'm On Earth

曲を作ってる時に、出だしのこのシンセの音に辿り着いて、
この音だったらこのフレーズ...次にギターフレーズが欲しいなということでギターを入れ、
朝の光とすっと鼻に飛び込む空気、呼吸のイメージが広がって行きました。
ちょうどジムに通って走る事をしていたので、ランニングの様子が浮かび、
それに合ったイイ感じの曲にしようと思いました。
走る時のウォームアップの助走からスピードを上げてキープしていき、最後にはクールダウン。
そんな様子を思い浮かべながら、スタジオにシューズを持ち込んで駆け足しながらやってましたね。


歌詞についてはecoさんに「呼吸する、アクティブに動く、シンプルな事、
そういうことに喜びを感じてるような雰囲気。これから始まるっていう雰囲気。」
というイメージでお願いしました。


出来た時から、この曲は1曲目にしたいなと思っていた曲です。

SOUND

02

金魚

結構早く出来た曲です。
水中の魚の動くヒレや体は、ゆっくりと、しなやかで、リボンの様に見える。
生まれが違うモノ同士が出会う場所。街の中。建物の中。
恋してる時というのは、こう...嫌いな人混みでも、ダルい雨の日でも、待ち合わせ場所に向かって渋滞していても、
なんだかそれさえもが気持ちを盛り上げる演出であるかの様な気になったりして、泳いで行ける様なそんな気持ちになる。
それに恋している友達が話しているとき、赤くなったりして、そーいうのもカワイいなぁと思ったりして。
「胸キュンしたら突き進むべしっ」というノリです。
個人的には是非オネエの皆さんに合いの手付きで歌って欲しいなと思っています。

SOUND

03

サイハテ

これはシングルになった曲です。
もうすでに書き足す事はありませんが、皆さんの記憶に新しい曲でもあるし、
アルバムに入って何の違和感も無いので収録することになりました。
打ち込みの曲をライブで歌うのは実はかなり難しいので、これから更に精進して行かねばなりません!!!
改めて、私がカバーさせていただく事を受け入れてくださった方々、作者の小林オニキス君に感謝致します。

SOUND

04

Remember

元々はギターから作った曲。
ソリッドでバネ感のあるリズムの曲にしたいと思い、浮かんだベースフレーズのリズム感を立たせていく方向に。
そしてギターはコード感を感じさせないアレンジにして、装飾の効果として存在させました。
駆け引きで一喜一憂する者同士。
愛が燃え上がったりトーンダウンしたり...緊迫感ある、都会の夜のイメージです。

SOUND

05

Make Up

仮歌から「メイクアップ」と歌っていたので、女性ならではの曲にしようと。

小さい頃にお母さんのスカートを胸まで引っ張り上げ、お化粧品を引っ張り出してみたり、
デートの前、いつも通りのメイクでもより丁寧になって倍時間が掛かったり、

おばあちゃんがパウダーをはたく姿を見て、素敵だなと思ったり。

世代を超えて、女はずっと女であるのだなぁと。

ファニーで瑞々しい有機的な雰囲気も注入したいなーと思って、
中間にパーカッションの音などを入れて、エレクトロな音だけでない
丸みのある世界にしてみました。

SOUND

06

New Days

アルバムの後半に追加した曲です。

移籍が決まって新しい環境でスタートするので、
それまで作業していた曲達とはまた違うものを描こうと思いました。

同時期、「サイハテ」をシングルにすることは決めていたのですが、
そのテンションにも合う感じにしたかった。

歌詞も「サイハテ」がお別れの曲だったので、
こちらは「こんにちは」「これから」「新しい日々」という内容にしたかったのです。

SOUND

07

Come Now

アナログシンセをいじりながらシンベ、リズムトラックから作っていった曲。

DJもたまにやらせてもらうようになっていたので、ダンスな曲のモードで作っていました。

メロディが多すぎるのは踊る曲としては好きじゃないので、
ワンフレーズが印象に残るようにしたかった。

EMS(シンセが出始めた時の、今ではかなりお高いパッチ式のアナログシンセ)を、
曲の中間の箇所の感情的にうねる音で使っているのですが、
そのレコーディング時には「お酒飲んでからやってみる?」「やばい、惜しいねー」
とか言いながらやっていて、面白かったですね。
良いテイクが録れたと思います。

SOUND

08

Ice Way

デモを作る時、ミニマルとグラデーションなイメージで曲を作ろうと
リズムから手をつけていました。打ち込みのダンスとは違う「ダンス」もやりたかった。

ギターフレーズを弾いているうちに、トライバルで揺れる雰囲気と
硬質な感覚を組み合わせようと思いました。

リズムはタイトで、装飾の音には金属的で鋭角的なニュアンスを含ませたくて。
沼澤さんはガッチリガッチリ思い通りに演奏してくれます。またカウントの声まで
使わせていただきました。
そしてナスノさんのベースが、更に不思議な、お茶目感覚を際立たせてくれていると
思います。

フラメンコに憧れる気持ちが出たのか、スカートやフリルを揺らしながら踊っている
気持ちになり、バンドメンバーの皆さんに手拍子していただきました。

デモは切れるくらい冷たいイメージだったのですが、バンドで演奏することで、
私自身も新鮮さを感じ、好き度がアップした曲です。

SOUND

09

Bridge To Heaven

曲のスケッチはかなり前からありました。
いきなりコーラスを重ねたAメロで、ちょっと現実感から意識が外れるような、
靄のある感覚にしようと思いました。
レコーディングの時、この曲のエンディングはワンコードでフェイドアウトにしよう
と思ってたんですけど、実際作業をやってみたら、ピンクの光と雲というか、
お風呂のゆげみたいな、アラビアっぽいような気持ち良さげな「ヘヴン」の感じが
出てきて、好きな感じのエンディングになりました。
遠く離れてても、相手が「今の自分になんて言うのだろうか」とか想像できる関係性、
想像する時間っていうのは宝物なのではないかと。

SOUND

10

Day Sleep

なんとなく、何かを思いながらも、感情が見えない感じにしたかった。
歌詞と歌のバランスは、ポジティブだったりネガティブだったり、
聴いてくださる方の感受性や状態によって響き方が変わるようにしようとしました。
迷路を目の前に口角を上げてニコリとできるしなやかさ、軽やかさとアンニュイさ。

SOUND

11

Chain Reaction

ベースフレーズから広げて行った曲。リズムは生だけど打ち込みっぽいニュアンス
に最初からしたかったし、シンベの方が雰囲気合うなと思って生ベースから差し替え
たりしました。
タイトルは「連鎖反応」という意味。すべて同じ、命に限りある生き物は、
命を繰り返す。「永遠の名声」など結局ファンタジーなんだけど、短い人生で名声の
ために手段を選ばぬ権力者もいるし、民はそうでない人を求める時代もあります。
各々全て影響し合っている世界。これからの世界はまたどうなるんでしょうね、
良いことが連鎖すればいいんですけどね。

SOUND

12

Amore

こういうバンドサウンドで成立する曲は、作っても「私はやらなくてもいいかな」
と、ボツにしがちだったんです。でも今回は、金属っぽい機械的なバネのニュアンス
をリズムに含ませてやってみたいなと思いました。歌詞はボーカルレコーディング
ギリギリで内容を変えました。どうとでも取れる歌詞を描く事が結構多い方ですが、
たまにはストーリーが絞れる内容にしようと。赤くて黄色い強い光に手を広げてる
イメージです。ウワーってかっ飛ばしちゃってさーというね、勢いです。ガマンは
イカンですね、はい。 
 完成に近づくほど、好き度が高くなっていったのには、自分でも驚きました。

SOUND

13

Star Pain

2コードでメロ展開させていく構成です。オープニングの街の音は夜の道路の音を
録った音です。作った時は、家ではラフに歌ってて。《カーマ(飼い犬)が『お母さん今どうしてるの~?』っていうっていう感じで。》
故郷で見た星が、東京で見た星が、小さい頃から見てる星が、あの人と見た星が.....
今日はよく見える、今日はあまり見えない、場所や年が変わっても、
自然に目印としているもんなんですね。旅をしながら。

SOUND

14

Harmony

シンベと仮ボーカルの2トラックのみで同時レコーディングした後、それを聴いて
もらいながら、ドラムとベースをそれぞれ別で入れてもらいました。
 この曲に関してドラムもベースも、リズム寄りというより、装飾効果寄りの演奏を
お題としてお願いしました。
 即興的な演奏をお願いするときは、
『私がリスペクトしているミュージシャンの方が、このオケに対してどんなカードを
出してくれるんだろう?』と、自分が一番楽しめる時間でもあります。
重厚でゆっくり轟く、雲のようなドラムに、その中を大きくうねりながら旋回する
竜みたいなベース。非常に気に入っています。

SOUND

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