ピエール瀧 PRESENTS 7HOURS DELUXE

2003.10.10 (FRI) ,@LIQUIDROOM, SHINJUKU
03:40 AM
さて、パーティは緩やかに後半戦へ。
ステージには、大槻ケンヂとリリー・フランキーの両氏が登場。
かたやナゴム時代からの知友、かたやテレビ&草野球で親交の厚い知将。それぞれ瀧との付き合いは深いが、互いは初対面とのこと。しばらく所在なく瀧との交流エピソードなどを交わしているうち、ホストがリターンする。ソファにくつろぎながら、3名による「渚トーク」が開始。
さざ波のSEが静かに流れる中、用意されたフリップのお題についてシミジミと語る中年たち……そのムードは、まさに場末の居酒屋。まるで終電を逃した酔客レベルのミッドナイト・トークが、ライヴ後の余韻を一転ヌルマ湯に変える。
しかし、ゲラゲラ笑ったなぁ!
大槻のノイローゼ告白や高木ブー伝説の真相、リリーの小林繁・巨人監督論や陰毛シラガのワビサビ、そして瀧のウルルン秘話……どーでもいいことばかりだが、思わず聞き入ってしまう巧みな話術に感服。まぁ、こっちも酔っ払ってきたもんで、何がおかしくて笑っていたのか、よく憶えていない状態なんですけど。
……と、そんな居酒屋モードを締めくくったのは、突如オーケンが歌いたいと志願したカラオケ「踊るダメ人間」!
まさしくこの夜、目の前にいる「心友」に捧げたアンセムである。
ラストは、リリーのアコースティックギター伴奏による「なごり雪」唱和……
まったく、どういうパーティなんでしょーか?



04:40 AM
ビデオ「ピエール瀧の体操30歳」「〜36歳」放映。
ちなみにこの頃、フロアもラウンジも相当ダラしなくなってきました。

04:50 AM
そろそろディープな時間帯に突入。
すっかりイイ湯加減のフロアを、さらに弛緩させるようなプログラム「生!究極ホ乳類ニシイ」が始まる。ご存知『COMIC 牙』の名物コーナー公開版、ステージに登場した生ニシイの放つダメ・オーラに観衆の眼差しも釘づけ。
しかし、そんな視線におびえつつも、どこか高揚した表情を見せるニシイ。
もしかして、放置プレイ……ですか?
たっぷり時間をかけて、ようやく姿をあらわすゾッケラー。
この夜、絶対服従のご主人様からの指令は「煮えたぎるエビ一気喰い」「嫌いな犬とダンス」「丸太を食べる」「ジェスチャーしながらダンス」……と、どれも究極ホ乳類を悦ばすものばかり。そして、映像以上に輝きを増すニシイ!ラストの「ダーツ・ゲーム」は、当たればパジェロ獲得。逆にハズれたら、ニシイの私物コレクション(プレステ/とれま001番/PRIDE開幕パンフレット/フィギュア)をお客さんに進呈するという自虐サービスぶり。最後はお立ち台の上で、ひとりパラパラダンスを披露してくれました。
しかし……ニシイのパンツの前が薄く濡れていたのは気のせい?



05:30 AM
……と、強力なインパクトを与えた珍獣ショウ直後。
続いてステージに登場したアクトは、若手お笑いコンビ・おぎやはぎ。
カリカ同様、瀧とはやはり『マルガリータ』で共演した間柄で、ゲーム「ウイニングイレブン」仲間でもある。この秋は『とんねるずのみなさんのおかげでした』にも出演が予定されており、名前を憶えておいて損はない。

05:50 AM
時刻はすっかり夜明け、しかしパーティはここから終盤戦へ。
さすがにダレ気味のフロアをムチ打つように「狂人ドラム大会」開始……
おそらくこの夜の「最深部」と呼んで過言ではない。
1992年11月、電気グルーヴの男子限定シークレット・ライヴ@下北沢シェルターで披露されて以降、公式での実演が封印されていた禁断のドラミング――ある意味、瀧の魂を極限まで掘り下げるスピリチュアルな儀式である。
その一端は、電気グルーヴ「誰だ!」PVでしか確認できなかった激レアパフォーマンス。初めて生に触れた多くのみなさん、もうトリコ仕掛けでしたねぇ……。
あまりに「彼岸」のテンションに、金縛りにあったように微動だにしない観客。最後はフロアに向かって、一言「死ね」と吐いてステージを去る瀧。
10年前と変わらず。しかし、そのネイキッドな精神域に、我々はまだ誰一人として到達できていないことを思い知る。
……ちなみに瀧のドラミング、昔よりうまくなってねーか?



06:00 AM
いよいよオーラス――
VJユニット「プリンストンガ」&DJ TASAKAによるセッション・タイムの始まり。
およそ3年ぶりとなる現場にも関わらず、まったくブランクを感じさせない瀧&田中秀幸のコンビネーション。トンガ用に秘蔵していた新ネタを惜しみなく投入し、貫録十分なヴィジュアル・ショウを展開する。
DJ TASAKAとも、阿吽の呼吸ぶり。吉幾三「Dream」やらオマリー「六甲おろし」やら藤波辰巳「マッチョ・ドラゴン」やら……この日のためにわざわざCD-Rに焼き付けたキラーチューンも大盤振る舞い。そうした絶妙なブレイクに、ワイドショウ&お笑いネタをジャストな間合いでスイッチング&カットイン――
もはや、職人芸。
しかしドメすぎて、ガイジンにはわかんないだろうなぁ……。
電気グルーヴ・ファンには嬉しい「密林の猛虎打線」「ジャンボタニシ」なども欠かさずプレイ。バンド休業中のウサも、少しは晴れたのではないでしょうか?
とにもかくにも、明け方のリキッドルームに「踊る快楽」が戻った150分。この時間帯が目当てだったんだよぉ〜と、俄然ハッチャケ始める連中も多し。そうしたダンス好きも満足させる、臨場感あふれるプログラムでした。

08:30 AM
7時間に渡る狂気のロングセットに終了を告げる「蛍の光」をBGMに、ステージにあらわれたフル完走直後の瀧&ニシイ。この前代未聞パーティの首謀者であるリキッドルーム・山根氏と、飛び入りゲスト(単なる酔っ払い?)のブライアン・バートン・ルイスを呼び込み、全員で餅投げ大会による大団円――。
ピーク時とは比較にならないが、それでも残った300人ほどのお客さんがサトウの切り餅に群がるフロア……つくづくアンタら、付き合いよすぎ!
ひょっとして、日本でも屈指の好奇心旺盛なヒマ人?
つーか、一体どんな生活送ってるんスか……って、よく考えてみたら開演から終演までリポート書いてるオレも同類じゃん!
うわぁ、オーケンの「踊るダメ人間」が耳から離れねぇぇぇ!

しかし、ひとりの人間として「7時間」をつないだピエール瀧――
祭りのあとの余韻に浸りながら、笑顔で餅を投げ続ける姿に男気があふれる。
その神々しさに……感動したっ!(_小泉純一郎)







文・増渕俊之


3/3