ピエール瀧 PRESENTS 7HOURS DELUXE

2003.10.10 (FRI) ,@LIQUIDROOM, SHINJUKU
00:00 AM
眠らない町、新宿歌舞伎町―― さまざまな欲望と快楽が、今夜も蠢く人間交差点。その一角にあるリキッドルームからコマ劇場前の広場まで、長〜い行列が延びている。
……うわっ! なんですかコレ? 
エレベーター前にいた同店スタッフに訊くと「さっきまで向こうのマクドナルドまで並んでたんスよぉ」とのこと。
なんか、デリック・メイが初めて<ヴィーナス>に出演したときみたいな感じ? たとえが古くて、すまんけど。
しかし、何か「未知なる世界」を目指して発散されるギラギラぶりは同質。一体どこから涌き出てきたのか……得体のしれない期待感が一帯に吹き溜まる。来年10周年を迎えるリキッドルーム史においても、この夜の行列は「前代未聞のパーティ」序章として末長く記憶に刻まれるに違いない。
それにしても、計り知れない「業」を予感させる夜長の始まりだった。

01:00 AM
開場1時間押し。前売りチケットを持っているのに並ばされたお客さんが、おおかたリキッドルームに入場できたのは午前1時過ぎのことだった。なおも外の階段では、当日券を求める人の行列が続いている。
ちなみに前売りチケットは、800枚が30分でソールドアウト。若干の当日券+100人を越すゲストを加えて累計1000人が来場予定だったので、すでにフロアもバーラウンジも人、人、人……もはや、有象無象の坩堝と化している。
しかし、みなさん。一体「何」を期待して集まってるのでしょうか?
普段のパーティだったらマイペースな時間にやって来る人も多いけれど……この夜ばかりは「初っぱなからいなくちゃ!」ってな空気がムンムン漂う。その過剰な意気込みの人いきれに、早くも根負けしちゃいそうな気分。
フロアでは、KEITAが「♪ドンツクドンツク」と地味ぃ〜なミックスで客入れの真最中。一方、バー・ラウンジの特設ブースでは、DJ TASAKA+TENが「♪ニョロニョロ〜」と気の向くままプレイ中……心技ともにユルすぎだっつーの。

01:20 AM
ようやく開演の気配に、フロアに飲み込まれていく人波――
まず、ステージ両脇のスクリーンに「草野球中継」が映しだされる。
内容は……DJでもないのにナゼ瀧が、リキッドルーム名物のロングセット・パーティ<7HOURS>に出演しなくてはならないのか? その背景となるピエール学園VSリキッドルーム・チームの遺恨試合を、往年の「プロ野球ニュース」よろしく軽快にダイジェスト編集した「前説ビデオ」である。
みのもんたのバーゲン品みたいな安い実況を聞きながら、罰ゲームに至るまでのハイライトを見守る観衆。そして、ピエール学園のラストバッター・道下が無様な三振を喫した瞬間……ついにパーティは幕を切って落されたのだった!
刹那、拳を振り上げて「ウォーッ!」と雄叫びをあげる密度120%のフロア。
……つーかアンタら、正気ですか?

01:30 AM

早くも逸脱気味な観衆を前に、最初のアクト「イボピアス」登場。
1996年4月、電気グルーヴ・ライヴ@赤坂BLITZの前座としてデビューするも、一晩限りで解散したデゴイチ&カヒミの超法規コンビ――。
その唐突な復活劇に、どよめきと嬌声が交じりあって響き渡る。
マッチョなデゴイチは、ハイレグ水着に白バイ・ヘルメットとGIサングラス。
スレンダーなカヒミは、バニーガールのコスチュームに鎧兜。
予想を遥かに凌駕したフロアの注視に戸惑いを見せながらも、用意されたカラオケマシーンを坦々と操作する2人。彼らが最初に選んだ曲は、QUEEN「We Will Rock You」――その扇情的なキックのイントロから、再結成ライブは開始された。
以降のセットは、以下の通りである。

 
モニカ(吉川晃司)
フレンズ(レベッカ)
Porno Star(SADS)
Song For U.S.A.(チェッカーズ)
Won't Be Long(バブルガム・ブラザーズ)

も、もう酔っ払ってんスか?
まるで、ヘルス開店待ちに入った明け方のカラオケ屋を彷彿させる選曲……
にも関わらず、それに大声援&手拍子でこたえる熱狂のフロア。
……つーかアンタら、一体ナニ者?
デゴイチ

カヒミ

02:00 AM
続いてのアクトは、若手お笑いコンビ・カリカ。
今年4月までテレビ東京でオンエアされていた、瀧&YOU司会のバラエティ番組『マルガリータ』で共演という間柄からゲスト出演となった。
普段は<ルミネtheよしもと>や、プロデュース公演「カリカ湖」で舞台修業を積んでいる2人も、クラブの現場は初めて。なおも、立錐の余地もないフロアのドマジな光景を前にして、改めてリキッドルームの帝王=瀧の人気を実感した様子。
20分の持ち時間では「能」ネタを披露してくれました。


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