◇ Special Comment ◇
◇ 「Starting Over」 interview ◇
◇ 「PRIDE」 interview ◇
◇ Special Comment

ドン小西
「イヤイヤ・・・・いいね、最高だよ。今回のStarting over!
ちょっと感動しちゃったよ。
何たってTinaの歌いっぷりは間違いなく日本一だってば・・・・・
何かさあ、やっと。やっと自分にたどり着いたって感じだな。
この先もずっーと”Tinaスタイル”でたくましく歌いつづけてほしいね。
そして、誰にでも、どこででも言ってやれって!
私の代りは居ないわよ?ってね。

DJ WATARAI
今回参加させていただいた曲ではTinaはもちろんのこと、
ANARCHYやマサ小浜さん、日野"JINO"賢二さんといった
Tinaに縁のある超一流のミュージシャンの方達とご一緒できて本当に嬉しかったです。
Tinaとのセッションはすごくいい刺激をもらえるし、また絶対一緒に仕事したいです!

元晴 from SOIL&”PIMP”Sessions
Powerful!!! Positive!!!止まらない音楽も人生も。
力強く!今をそして未来へ!

D.O.I.
知り合ってもう十数年。今まで本当に様々な形で関わらせて貰いましたが、
今回さらに歌に磨きがかかったように思います。
技術的にも精神的にも色んな経験を積む事で見えてくる
「厚み」みたいなものを歌から感じました。

SIVAdesigner / HELLBENT [ One Voice ] : TERUHIKO TSUJI
Tinaは,歌がなくなったら自分じゃなくなるっていうことを,すごく感じてると思う...
そこにこだわりがあり、現場至上主義なクラブで歌い上げてた
Tinaだからこその「声と詩」にはノスタルジックな世代にグ〜ッとひきつけるものがあると感じます。とてつもない才能よりも、会う人すべてを幸せな気持ちにさせてくれるTinaの人なつこい笑顔が好きです。

S-WORD(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)
Tina姉さん!シングルリリースおめでとうございます!
Tinaの歌声を待ちわびていた方々にとって何よりのプレゼントになりそうな楽曲ですね。姉さんの持つ力強い歌声が今のような時代には本当に必要だと思います。これからも沢山の人々に力を与える魂を歌い続けてください。
ライブで生で聴ける日を楽しみに待ってます。

KENJI"JINO"HINO
Tina is a one of a kind artist.
She's got Soul, Jazz, Pop,R&B vibes and most of all she has a big heart and
I know that's the most important thing in artist!
I happened to be her fan from da late 90's and I continued to be....
It was a great opportunity for me to work with her and I am really thrilled that her new CD is dropping!!!
Because not only I'm on it (ha ha lol w)
She has her heart and soul into her music cooped up since her last CD
So watch out here she comes!!
T,I,N,A,and U gonna love her new single and da CD!!!

MASA小浜
いつも太陽のようなTina。 素晴らしいポジティブなメッセージ、
心のこもった新作をありがとうございます。
カップリングの曲も最高です!

HI-D
Tina、こうしてまた君の歌が聴けるのは嬉しい....。
もはや説明不要、ジャンルも流行も関係ないシンガーに
進化を遂げたTinaのニューステージ。
島野さんのどこか懐かしいメロとTinaだから真実味がある強いメッセージが
きっと98年のデビューから聞いてるみんなも、
この曲でTinaを知る事になったみんなの心にもガッチリ染み渡る事でしょう。
おかえり、Tina!そしてYou gotta going on sista!

LEO
2年振り10枚目のシングルリリース!!おめでとうございます!!
力強い歌声の中に感じられる優しさ、聴く人に勇気を与える歌声、
それはTinaさんだからこその"歌魂"。
ストレートでリアルなTinaさんのメッセージは聴く人の心に響き渡るはずです。
そしてシンガーである自分も改めて"音楽"というものを考えさせられた作品です。
是非この歌が沢山の人に届きますように!

J-WAVE桐山直人
約2年振りのシングル、おめでとうございます!改めてこうしてジックリTinaの声を聴くと、13年前に比べて本当に安定感が増したのと、あの当時はそんなに持ちあわせていなかった艶が出ていて、聴く人に、より安心感を与えてくれる存在なんだなぁ、と実感する事が出来ました。7月のアルバムも期待しています!

FM福岡 稲葉 中
ありきたりだが、北風と太陽の童話でたとえるなら、この曲でのTinaは
太陽であろうとしている。ジワジワと放熱して、聴き手を心の上着を脱がす。
「力任せの時期は過ぎたの」と言ってるかのように。そのためには、
音楽スタイルなど何でもよかったのだ。苦悩をくぐり抜けた先の包容力が、
カツオだしのように全体に染みている曲だね。

Urban Next プロデューサー
西崎信太郎

僕が"R&B"という音楽を知ったばかりの頃に出会ったTinaさんの歌声の衝撃は、 今でも鮮明に覚えています。
あの衝撃の出会いから十数年。僕は今でもTinaさんのファンですし、
それはこれからもずっと変わりません!
記念すべき10枚目のシングル「Starting Over」のリリースおめでとうございます!

GARNI プレス 辻輝美
”Starting over"リリースおめでとうございます。歌からはもちろんですが、
Tinaという人からもらうパワーはいつもハンパじゃないっ!大好きです。
何度となくGARNIのイベントに参加して頂きましたが、
これからもGARNIの歌姫でいてください。
あっ、ごめん、みんなの歌姫でいてください!!! (笑)

代官山LOOP店長 羽田寛士
この作品を初めて耳にした時、自然体だなと思う反面、内に秘めたる躍動を感じた。
これまでに培われた知識と様々な経験が積み重なり、それらが熟して浄化され、
一本の筋がピンと伸びている。
ただそれは決して無理をせず、あるがままの「今」のTinaを魅せてくれている。
これまで、世界中の偉大なミュージシャンとの共演や、素晴らしい作品を生み出してきている彼女は、日本の音楽シーンに新たな礎を築いたパイオニアである。
だからこそ強烈なイメージもあると思うが、この作品は、それらを一度ゼロにして、固い事を考えず、今のTinaを感じて欲しい。
Starting Over

FLJ magazine 大野俊也
シンプルですごく染み込む歌。昔から変わらぬTinaの歌声。
その歌の強さは込められた気持ちの大きさ。
初めて会ったのは1999年。その頃僕が働いていたWARPでは
連載ページもやっていただき、そんなことも思い出しながら聴かせていただきました。
変わらぬ歌の力に引き寄せられると共に、Tinaって最初からこうだったんじゃん!って
改めて思いました。

松下和裕(Standard co.,ltd)
歌の上手なシンガーは、本当にたくさんいる。でも、その歌に共鳴するというは、
すごくパーソナルなことであり、相性であり、運命でもあると思う。
デビューの頃から知るTinaが、今という時代に生み出した『Starting over』は、
僕の心に響いている。自分自身がメディアの仕事に関わってからの20年弱の出来事が
蘇ると同時に、またひとつ勇気を貰った。

プロデュサー SCP 大原正裕
Tina さん
久々のシングルリリースおめでとうございます。
私はスタジオモニターの前で、新曲をTina が歌い出すのを聴くたびにドキドキします。
なんて言うか、この曲はティナが歌うとこんな感じになるだろうな、と想像しながら
レコーディングの準備をすすめるわけですが、

実際歌いだすと、曲に生命がやどり、輝き出します。
曲が生き物になり、こちらの心にグサッと刺さってくる。
こういう感覚は本物のアーチストと仕事しないと、得られない。

だから、今回のシングル3曲ともタイプは違うけれど、
曲にこもっている魂(=ソウル)の量はハンパないです。 圧倒されます。
音楽に圧倒される。それこそが音楽ファンの至極の愉悦です。
是非みなさんもティナに圧倒されてください。

至福です。

BENNIE K YUKI "Jolly Roger"
この度は、収録曲「Mother's Day」の制作へ参加させて頂けた事、本当に嬉しく思っております。
大人な魅力とカッコ良さで沢山の人を魅了するTinaさんの歌声は、楽曲へ魂を吹き込んでくれたと感じました。
New Single「Starting Over」リリース本当におめでとうございます!!

Virgo Hammera
Tinaさん!リリースおめでとうございます!
今回はカップリング曲「Mother's Day」を
僕とBENNIE KのYUKIとNAO2とのトリオで制作させてもらいましたが、
ワンループのトラックでこんなに素敵な作品に仕上げてしまうなんて
やっぱり、Tinaさんはすごいシンガーだなぁと思いました。
Tinaんさんの声は心の中にドンと響きます。

僕にとって憧れのTinaさんと曲を創れた事を本当に誇りに思います。

竹本健一
迷っている時、あきらめようとしている時、
どうしていいかわからない時、うつむいて前が見えない時、
このStarting Overが、自分のテーマソングになってくれる。
Tinaさんの説得力のある歌声だからこそ、
歌詞のメッセージが心まで届いてくる。
すんごい背中押してくれる、歌。
感謝したくなりましたっ!
ほんとに、ありがとうございます。

島野聡
Tinaとの出会いは確か10年以上前。そこから一緒に作品を作る事は無かったけど、
いつも近い存在で同じフィールドを歩いて来た仲間だ。
今回「Starting Over」を作るにあたり、お互いにやるべき事、進むべき方向は一致していて
多くの言葉は必要なく「Tinaの音楽を追求する」だけで良かった。
Tinaという人間臭く愛に溢れるアーティストの今を感じて欲しい。

山口リサ
私が初めてクラブで、Guest Singerのライブを見たのがTinaさんでした!
それまではCDでしか聴いたことがなかったTinaさんの生の歌声とパフォーマンスの迫力は、今でも鮮明に覚えています!
Starting Overは変わらないTinaさんの力強い声に加えて、暖かなSOULを感じる前向きになれるメッセージの詰まった楽曲だと思いました。
戦うのに疲れた時にもう一度頑張ろうって思えるそんな曲だと思います♪
CDで聴くのももちろんいいですが、生の歌声をまた聴きたいです!!!!

Tom Coyne (Sterling Sound)
“The first thing that caught my attention was the power of Tina’s vocals.
Tina’s vocal soul is the common thread that weaves its way thru the album.
showcasing her unique ability to interpret each song with incredible emotion.
The variety of songs makes listening to the album pure pleasure”!

椎名純平(Dezille Brothers)
いま、何を歌うべきなのか。同世代であるTinaさんと僕の想いには、きっと重なる部分が多いと思う。彼女の歌を聴きながら、僕は膝を打ち快哉を叫んだ。
そうだ、そうなんだよ。いま歌うべきはこういうことなんだよ。
僕も、彼女に貰った勇気で、もう一度…

DJ RYOW
Tinaさん アルバム発売おめでとうございます!
1曲目からぶっ飛ばされました。
完全にそこらのDIVAとは訳が違う最高アルバム !!!!!!!!

"E"qual
まず一言で言うと、ただただカッコいい人です。
Liveを拝見させてもらっていつも思うのが、楽しそうだなーって。音楽してんなーって。
んで、届いたばかりの楽曲、聴かせて頂きました。
歌がうまいってのはもちろんなんだけど、僕が好きなのはパワフルな表現方法です。
そこに厚みや説得力を感じます。難しい事抜きにカッチョ良かった。そんな感じです。

from SWING-O a.k.a.45 (origami)
『情報量の多い声』ってのがある
ほんの数秒その歌声を聴いただけでその人と分かる声のことを言う
Tinaはまさにそんな『声』と『歌』を持ったシンガーだということが確認出来るアルバムだと思うし、
時代はそうした、再生産出来ない存在を欲していたはずだ
きっと多くの人が懐かしさと愛おしさをこのアルバムに感じることだろう
そんな濃密なアルバムに3曲もアレンジで参加させて頂いて、素直に俺は嬉しい

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◇ 「Starting Over」 interview
Tinaの心に浮かんだ景色
歩き出す、私が描く未来へ


Prologue
 およそ2年ぶりとなる新作を発表するTina。“Lady Soul”という新機軸を打ち出した前作「PRIDE」は5年ぶりのカムバック作品であると同時に、彼女の記念すべきデビュー10周年という節目にリリースされ、リスナーにとっても彼女自身にとっても歴史に深く刻まれるものとなった。それから要した2年の歳月で彼女が戦ってきた葛藤、そして実直なまでの想いが託された楽曲が新曲「Starting Over」だ。「これまでの私」という概念を振り払い、音楽の持つ力でどれだけ多くの人々の心に響かせることができるのか――Tinaの歌うことへの“PRIDE(誇り)”は、新作から滲み出る“自信”へと結実している。
「この作品に辿り着くまでたくさんの壁がありました。例えば、レコーディング作業におけるこだわりです。とにかく歌って何度もテイクを重ねるんですが、私の思う“正解”ってなんだろう?
って。もっと私は良い表現ができるはず、と思いながらも、明確な回答はなくて“うまい歌”という表面的な部分だけにとらわれてしまっているだけじゃないかって。それまでの私の歌に対してのこだわりの一番大事なものって何だろう? もしかしたら自分の歌や音楽の範囲を狭めている可能性があるかもしれない。これまで一緒に曲を作ったことがない人と仕事をすることで、絶対に踏み入ってほしくない領域すら開放してしまい、目の覚める思いをしたい気持ちもあったんです」

Chapter 1 -Starting Over-
――前作からしばらく時間が経過しましたが、これまでの期間はTinaにとってどんな時間でしたか?

日々、音楽のことばかり考えていました。常に制作のことが頭から離れなくて……(笑)。そんなときに(東日本大)震災があり、日本中が不安に駆られているなか、ふとコンビニに入ったら有線から森山直太朗さんの「さくら」が流れていたんです。その曲をじっくり考えたことがなかったんですけど、日本がそういった状況下に置かれて世の中的にも、個人レベルでもとても沈んだ気持ちでいるそのときに、すっと曲が心に入ってきて。ふとした瞬間に聴こえてきた音楽がどれだけの人の心を打つのか。震災を機に、と言ったら不謹慎ですけど、私も人に、そして自分に素直であるべき曲を作りたいと心から思いました。

――それが大きなテーマとしてあり、「Starting Over」はどのようなコンセプトで進めた曲ですか?

もともとそのタイトルで歌詞を書いていたんです。メロディによって歌詞の雰囲気は変わるけど、素直な思いを歌いたい。今回の作曲家である島野聡さんの自宅で作業をしていたんですが、ふと島野さんが弾いたピアノのメロがグッときたんです。それを私が持ち帰ってAメロとBメロを書き、最終的にメロディに合わせるように歌詞を書き直しました。

――島野さんとの作業はいかがでしたか?

私がレコーディングにおけるこだわりを持っているように、島野さんも同じように自分の曲に対してのこだわりを持たれていて。彼は音楽の天才なので、それを数学の方程式のように捉えることができて、言ってしまえば「良いメロディの方程式」を知り得ているんです。でも、それは洗練されたものであって、逆を言えばワンループで作られた荒削りなものに生まれるメロディが新鮮だったり、そこにこそ“良さ”があったりするんだよね、と話されていたんです。そういった部分が私の持つ葛藤とリンクしたのは作業に影響を与えたかもしれませんね。

――今作にはTinaの人生のモットーが表現されている、とありますが、改めてTinaの人生のモットーとは?

人生はきれいごとだけじゃない、ということです。本来であれば「いつも私があなたを守りたい」といった歌詞を書くのかもしれませんが、歌も正直に感じているリアルを歌っていきたいんです。「前を向いて歩こう」と思っていても、進むこともできない人もいれば、いざ進んでみて壁にぶつかったときに立ち止まる勇気も必要とされるときもある。現実をわかっているからこそ、理想を追い求めて、その狭間でもがく自分もすべて受け入れるメッセージ・ソングとして聴いてもらえたらうれしいです。

――そのリアルがTinaの歌い方にも変化を与えていますね。

もともと弱々しい歌い方が苦手で……鈍器のような声(笑)に魅力を覚えていたので、繊細な歌い方にも抵抗感があったんです。でも、今回はそういった考え方も振り捨てて、“Tina”という形式ばったものを取り外して歌いました。それは誰かが決めたことなんかじゃなかったんです。私自身が勝手に決めていたこと。私自身のこだわりは、自由なようで、とても不自由だったのかもしれませんね。

Chapter 2 -Mother's Day & Sincerity-
――同録の「Mother's Day」について聞きます。この楽曲で“大人の母の日”というテーマに着想を得た背景というのは?

BENNIE KのYUKIちゃんが私をイメージしてくれて作詞してくれた曲なんですが、じつは最初にお願いしていた曲は母の日がテーマの曲ではなかったんです。作業を進めているうちにYUKIちゃんが「こんな曲もあるんだけど」って言ってくれて、それが年齢を重ねた母と娘の関係を歌った内容だったんですね。YUKIちゃんの仮歌が入った曲はとっても女性らしい仕上がりだったんですけど、私が歌ったらムーディーになりすぎて、しかもドスまで利いちゃって(笑)、こんなんじゃダークな母の日になっちゃうね、って笑いながら作業していたんですけど、最終的にはすごく良い形で落とし込むことができました。私の世代になれば、もう母親になっている女性もいるし、子を持つお母さん、いち女性として聴いてもらえたらうれしいです。

――Tinaにとって母親とはどんな存在ですか?

無償の愛を持つ人。私も常にそうでありたいと思うけど……本当の愛を知ってしまうと、切ないんですよね。良いところも悪いところもすべて受け入れなくちゃいけないから。私はそう簡単には人を許さないタイプなので(笑)、そういった愛を持つ母親は本当に強くたくましいな、って思います。

――もう一方の「Sincerity」についてですが、こちらのコンセプトは?

この曲は3年ほど前に出来上がっていた曲で、Anarchyくんの「DRAMA KING」と「ROCK STAR」(Anarchy『DREAM AND DRAMA』に収録)に参加させてもらった後くらいにレコーディングをしました。この曲のアレンジにはワタさん(DJ WATARAI)に参加してもらっているんですけど、「これはヒップホップ演歌だ。新しいジャンルができたね」って言ってくれて(笑)。確かにハードでエモーショナルな曲だったんですが、Anarchyくんが参加してくれたことによって、そこにブルージーな感じも加味されて、すごく心に響く曲になったと思います。

Epilogue
 今作の完成で彼女が見出した回答は、音楽が本来持つ普遍性である。洗練されたものばかりが良いものとは限らない。そこに見紛うことなき音楽を愛する気持ちがあれば、そのリアルなソウルは伝わることを「Starting Over」が教えてくれる。「私自身のこだわりは、自由なようで、とても不自由だったのかもしれない」――規制を外し新たな自由を手に入れたTinaは凛々しく、そしてたくましい。
文: 佐藤公郎(FLOOR net編集長)
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◇ 「PRIDE」 interview
―― Tina名義では5年振りの作品リリースとなりますが、その間、どのような活動をされていたのですか?
「ザ・ルーツが日本に来た時に一緒に食事をする機会があって、その時クエスト・ラヴ(ザ・ルーツのドラマー)からフィラデルフィアでやってるオープン・マイク・イベント『Black Lily』に出てみない?って誘われて、それでフィリーでライヴをやったり、それが縁でアメール・ラリュー(元グルーヴ・セオリー)と知り合って彼女の日本ツアーを一緒に廻ったり。あとはMACKA-CHINとSUIKENと一緒にヒップホップ・ユニットMONTIENで3枚のアルバムを出したり、その時その時自分がコレ!って思うものを思いっきりやってました。その間も普段からコミュニケーションをとっているD.O.I君やMURO君、WATAさん(DJ WATARAI)とかと曲作りをしていましたね」

―― その5年を振り返って、今どう思いますか?
「今自分がシンガーとしてこうしていられるのって、色んな人との出会いがあったり、色んな人の愛情があったからこそだと思うし、この5年で経験したことのどれか一つが欠けても今に到達できてないと思うんです。遠くにビジョンを描いて、それに向かって進んでいるけれど、それ(初めて遠くのヴィジョンに向かって進むこと)もその時々の積み重ねがあってはじめて出来ることなんです。この5年間で楽しいこともたくさんあったし、それだけじゃないこともたくさんあったけれど、あの5年間があったからこそ今の私が在るし、後悔は一つもない。すごく幸せな時間でしたね」

―― その5年を経て、新生Tinaがスタートするわけですが、新たにスタートを切るにあたって、どんなTinaを見せていきたいなと思っていましたか?
「今まで私がやってきた楽曲スタイルやTinaのイメージは、それはそれで私の大切な歴史だからこれからも大事にしていきたいけれど、その延長線上で、今だからこそできる楽曲に対してのアプローチや歌詞の表現方法も自分の中にはあると思っていて。それって音にするとどういうものなのかなと考えてた時に、<LADY SOUL>っていうキーワードがパッと頭に浮かんだんです。<LADY SOUL>ってアレサ・フランクリンの称号でしょ。私も<JAPANESE LADY SOUL>っていう称号を携えて、新しい楽曲にトライしていきたいと思ったんです。今までのTinaのイメージとはちょっと違うかもしれないけど、私の中にはずっとあったもので突然シフト・チェンジしたわけではないし、そこが一番ベーシックなものだったもりして。前々からそういったサウンドの曲を作ったりもしてたんだけど、今回事務所やレコード会社を移籍して、より強固な“チームTina”が出来て、チームのみんなとディスカッションを重ねる中で、漠然としていた方向性がより具体的になっていったという感じです。楽曲、ジャケット写真、ミュージック・ヴィデオ、そういったものが出来あがっていくにつれて、 どんどん<LADY SOUL>というコンセプトが 明確になっていったというのが正直なところですね」

―― 具体的にTinaさんがイメージする<LADY SOUL>とは?
「それ聞く? やっぱ聞くよね(笑)。言葉で説明するのがすごく難しいんですけど、私が思う<LADY SOUL>っていうのは、やっぱりアレサ・フランクリンのイメージがすごく強くて。あとは年齢を重ねた分だけの経験だったり、シンガーとしてだけじゃなく、一人の女性としての“その人そのもの”が楽曲からにじみ出てるような音楽っていう イメージですね。少し大人になった分だけリラックスして、だけど歌に込める思いや情熱はソウルそのものっていう音楽が出来ればなと思ってました。難しいこと一切抜きで、聴いた人が『なんかすごいソウルって感じだね』って思ってもらえるような作品になればいいなと思ってましたね」

―― そんなTinaさんの思う<LADY SOUL>を具現化したニュー・シングル「PRIDE」がいよいよリリースされるわけですが、エイミー・ワインハウスとリンクするようなレトロ・ソウルの雰囲気を醸し出しつつ、ジャズやヒップホップ、さらには昭和歌謡のテイストまでもふんだんに取り入れたナンバーとなっていますね。
「<LADY SOUL>っていってもただ70年代のソウルを今やるんじゃないくて、2010年のソウル・ミュージックにしたいと思っていて。それを音にするならこういう感じでって何度もアレンジャーさんとディスカッションを重ねながら作っていきました。やっぱり最初は私が思う<LADY SOUL>を伝えるのがすごく大変で。それってすごく大きなテーマな上に、すごく感覚的なものだから。人それぞれのソウルの定義があるし、私の中にあるソウルの定義がすべてじゃないし、何度も何度もディスカッションして<LADY SOUL>を形にしていったという感じです。結果、バッチリな作品が出来たし、仕上がりには大満足です」

―― 歌詞についてもTinaさんが思う<LADY SOUL>が表現されているのでしょうか?
「そうですね。今回この曲を歌うにあたって、私の中からは出てこないようなちょっとシャレてるな、憎いなっていうフレーズが欲しいなと思っていて。それで作詞家の及川眠子 さんにお願いしたんです。及川さんはかつて一緒に共作した「I'll be there」をはじめ何度も歌詞をお願いしている方で、私が好きな表現とか、歌った感じはこうなるとかを考えた上で歌詞を書いてくださる方なので。(歌詞を)私のパーソナリティに近付けてもらったり、サウンド面同様歌詞も何度も話し合って作っていきました。<すごくて愛されたくてしょうがないんだけど、それを素直に言うには プライドが邪魔して言えないし、それゆえに愛するのに疲れたと思っても、結局愛することしかできない>っていう切ない思いを、 女々しくなく、凛とした粋な女性像で表現出来たと思います」

―― コーラス・ワークにもこだわったそうですね。
「アレンジャーさんに伝えた世界観を私はコーラスの部分で出来ないかなって思って。遊び心を取り入れつつ、イナたさの中にあるカッコ良さを表現したコーラスで、よりその世界観を膨らませたいなと思ってました。“遊び心”だったり“粋”っていうのは、今回の<LADY SOUL>のキーワードでもありましたね」

―― ブタを抱いて歌っているミュージック・ヴィデオも遊び心満載で。
「最初はなぜブタ?って思いましたけど(笑)、でもシュールで面白いなと思って。今回表現したかった粋だったりウィットに富んでる感じが、ミュージック・ヴィデオの中でも表現できたと思います。でも決して悪ふざけとかではなくて、ベーシックなところで確固たる音や歌があるからこそ出来る余裕っていうか。そういう意味ではちゃんとコンセプト通りの 映像が出来たんじゃないかなと思いますね」

―― カップリングの「innamorato」はサウンドも歌詞もすごくセクシーな曲ですね。
「「innamorato」(インナモラート)ってイタリア語で恋人っていう意味なんですけど、言葉の響きがいいなと思って。なんかちょっとセクシーな感じしません?今まで自分が書いた楽曲の中で恋愛をモチーフにしたり、 男性を思い浮かべて書いた曲って意外と少なくて。自分の大切なものについて歌ってると必然的に 恋愛の歌と捉えられることが多かったんですけど、この曲に関しては最初から色っぽいセクシーな男女の恋愛を書きたいなと思ってました。イメージとしては煙が立ち込めるモノクロな雰囲気で、どことなく気だるくて艶っぽい感じが 醸し出せればいいなと思ってましたね。あとは<LADY SOUL>ってところで、ピンキーとキラーズみたいな感じのコーラスが出来ないかなと思って。昭和テイストっていうのを意識していたわけじゃないけど、やっぱり<JAPANESE LADY SOUL>ってなると、そういうエッセンスがあった方がいいかなと思って。この曲も「PRIDE」と一緒で、コーラスでイナたさの中にあるカッコ良さを出せればなと思ってましたね」

―― そしてもう一曲、デビュー曲「I'll be there」をサンプリングした「Time goes by -I'll be there-」が収録されています。
「この曲は<LADY SOUL>云々というよりは、デビュー10周年のメモリアル的な曲。(「I'll be there」をサンプリングするというアイデアは)スタッフから出たアイデアだったんですけど、自分の曲をサンプリングするなんてすごく面白いなと思って。だとしたら元曲で携わってくださったアレンジャーさん達に今回も参加してもらいたいなと思ったんです。そこにDJ WATARAI君に参加してもらうことで、10年前の「I'll be there」を今の時代のものにアップデイトさせたいなと。さっきも言ったけど、その当時の音をそのまま今にっていうんじゃなくて、2010年のサウンドにしたいと思っていて。バック・トゥー・ベイシックだけど、前進してるものにしたかったんです」

―― 歌詞はどんな思いを込めたんですか?
「今の私の等身大の思いをそのまま書きました。最後の2行(「泣きたい日々でも時が経てばgood days/私はここから歩き出す」)に集約されてますけど、どんなことでも時間が経つと良いことしか思い出さないんですよ。時が経てばどんな日々もグッド・デイズになるし、私は今本当にそう思ってるから、そんな私の思いを素直に書きましたね」

―― CDジャケットを今までのイラストからご自身の顔を出したものに変えたのは、どんな心境の変化があったのですか?
「自分の顔を出したくてしょうがないとかじゃないんだけど(笑)、あのイラストってすごく定着してて、私にとっても愛着のあるキャラクターなんですね。あのイラストは今後も私の分身として何かのポイントで出てくるだろうし、なくなるわけじゃないんだけど、今回Tinaという生身の人間を伝えたいという気持ちと、新たなスタートを切るっていう思いを込めて、自分の顔を出したこのジャケットにしました。イラストよりも生身の人間を出した方がよりソウルが伝わると思うし、チームのみんなからもTinaが思いっきり歌ってる姿を出した方がいいんじゃないっていうアイデアを頂いたりしたので」

―― ヴィジュアル込みで<LADY SOUL>を表現したと。
「そうですね。ジャケットもそうだし、ビデオもそうだし。すべてで<LADYSOUL>が表現できたと思います」

―― このシングルを皮切りに2010年は続々と作品がリリースされる予定ですが、5年ぶりにメジャー・フィールドで活動するにあたって、今後Jポップ・シーン、日本の音楽シーンとどう向き合っていきたいですか?
「作品を出すのにメジャーもインディーも関係ないと思っているけれど、私はメジャーのフィールドでやりたいと思ったんですね。後も変わらず自分の音楽のポリシーは持ち続けて、さらにどんどん新しいことに チャレンジしていきたいです」

―― 今後の目標は?
「<JAPANESE LADY SOUL>っていう称号を多くの人に認めてもらえるくらいの存在になれたらなって思ってます。あの人歌ったらどんな曲もたちまちソウルになっちゃうね、みたいな、そういうシンガーでありたいです」
(インタビュー: 川口真紀)
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