RAINBOW 2000

1997 8.9 (SAT) HAKUSAN

川県にある白山瀬女高原で行われたレインボー2000。東京近郊のクラバー、テクノファンは地理的な遠隔地方という条件もあって富士に集中したかもしれないが、ラインナップ的には、むしろ白山の方に日本のテクノ界を代表するDJ達が勢ぞろいをしただけあって、一晩で8000もの人が集まった。

BOOM BOOM SATELIGHTS8月2日の昼間の1:30、日本を代表するBig Beatの本命、BOOM BOOM SATELLITESのライブでレインボーは幕開け。ロックテイスト色の強い彼等の音楽はさすがにライブだと見応えがある。ギターをかき鳴らす川島や、ピョンピョン飛び跳ねヘッドバンキングしながらミキサーをいじる中野のアクションに客も大いに盛り上がっていた。

前半のラインナップで評判を博していたのが、イタリーのACVからリリースしている地元のユニット、ナガイ・エリのライブだ。新しい曲も披露していた彼女らのプレイはビキビキにファンキーだった。この新しい曲はアナログリリースの予定もあるらしいから、これからのナガイエリも要チェックだ。

その後、タツヤ・オオエ、YAMA、PHIL FREEと一時間半づつのプレイ。オーディエンスの空気がヒートアップしてくるのが感じられる。

FUMIYA TANAKAWADAの後にプレイした田中フミヤは、これまでの様々なパーティで披露してくれた数多くのプレイの中でも最高の部類に入るといっても過言ではない出来だった。レインボーへ初出場という事への田中フミヤの気合いも、オーディエンスの期待も最高潮に達していたからではないだろうか。あの素晴しい熱気を言葉で伝えるのは非常に困難だ。まさに「男気」のプレイだった。

KEN ISHII田中フミヤを引き継いでのケンイシイも、ファンの掴みどころをがっちり捕えていた。一曲目は「EXTRA」。その数曲後に「Overlap」が流れると再び大きな歓声が上がっていた。ケンイシイが終わったところで、PHOTEKのドラムンベースへとバトン・タッチし、展開が変わる。ハードステップというより、どちらかと言うとメロディ・ラインのあるきれいめのドラムンベースを多く選曲していく。次第に夜が明けていくにしたがって、ALEX PATERSONへのDJへと引き継がれていった。

ALEXのDJは何を考えているのかわからないぐらいに意外性のある選曲が面白い。炎天下になってきた野外の朝にバッキバキのJeff Millsの曲をスピンしたかと思えば、St.Etienneの「Only Love Can Break Your Heart」までプレイするという具合。(笑)オーディエンスの期待をいい意味で裏切るマッドな選曲は彼のオリジナルなスタイルだろう。

ALEXのプレイを最後にして、なごやかな朝の空気のもと、のんびりした中でチルアウト・タイムが始まる。

岡野弘幹 with 天空オーケストラ&細野晴臣のライブ。
太鼓や生の楽器に、岡野弘幹がそれに合わせて歌い上げる、極めてトライバルな音楽。
地球から湧き出てくる大地の鼓動とリズムがじわじわとグラウンド中に拡がっていく。
何と心地のよい音なのだろう!

朝の9:00、メイングラウンドからアルカディア・ガーデンに行くゴンドラが動き出した。そこから8分かけて険しい山を移動していくと、眼下には回りの山々と湖のようなダムが拡がっている。

ほぼ頂上に近い終点に着くと、そこにはまさに天上界が待っていた。

暖かい日ざしに目に眩しい木々の緑、ビニールベッドに横たわり気持ちよさそうに眠る人と、彼の飼い犬が見知らぬ人にじゃれながら遊んでいる光景。そして自分たちのいる場所を通り過ぎていく雲の流れ。スピーカーから静かに流れるアンビエント。

メイングラウンドとは別にこんな趣きのあるグラウンドを用意しているあたりがレインボー2000の企画のオリジナルなところだ。
都会から離れて、日常の喧騒を忘れさせる。

最後に、パーティ終了後のゴミひとつ落ちてないきれいなグラウンドに感心したことを付け加えておきたい。RAINBOW2000はその当初より「エコロジー」をコンセプトにしているだけあって、会場入り口で携帯灰皿を参加者全員に配ったり、会場のゴミ拾いのボランティアを募るなど、ゴミと環境に対する気配りが徹底している。 また、おそらく参加している多くの人にも、自分の出すゴミに対して自然と気を遣わせるような空気がこのパーティにはある。

山中へ行って大音量を出してパーティをするのはもちろん自分たちのエゴなのだから、楽しむ以上、最低限のルールは守らなくていけない。参加したアーティスト達のアクトのクオリティの高さに加え、そういう観点から見ても、優れた野外パーティだったと言えるだろう。

TEXT : MAHO TAKEMORI

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Boom Boom Satellites Fumiya Tanaka Ken Ishii
Boom Boom Satellites
21.1sec./1.2MB
Fumiya Tanaka
15.1sec./0.9MB
Ken Ishii
37.1sec/1.9MB

1989 8.9 (SAT) Mt.FUJI

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