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Lifelike Lp Significance facts about the artwork design:

Lifelike のアートワークデザインに関する重要な事実:

- Lifelikeとは:
K:  Lifelikeはほとんど人間に近いもの、あるいは生命を予感させるものの可能性をあらわしている。選曲は違ったテンポ、スタイル、テクスチャーの曲でできる限りバラエティに富むようにした。このアルバムを構成しているタイトルは私が過去10年間でもっとも特徴あるアレンジを表現している曲である。生命のように、どの一秒をとっても同じものはなく、そういった曲の構成がアルバムタイトルを象徴している。
- カバーデザインと色の重要性:
K:  カバーデザインは今回のプロジェクトでもっとも重要と思われる3色を使用している。数ヶ月前、Axis RecordsサイトのDiscussionセクションで4週間にわたる「人生の色」という表題でディスカッションを行った。自分たちが生きている世界を最も象徴している色を1色選ぶとしたら何色か、という質問がだされそれに答えを募ったものだ。一番答えが多かった色3色が赤(1位)、黄、青であった。デザインの一番重要な部分は複数の色が合わさって新しい色が作られている部分だ。私にとって、その部分こそが今の時代を象徴している本当の色といえる。

 ブックレットのデザイン全体において黒は背景として使われている。黒は「空間」をあらわしており、私たちの周りの未知を表現している。その他の色は、
Red = Panic (パニック)
Yellow = Joy (喜び)
Blue = Medium/Normality (媒体・常態)
Green = Greed or inexperience (欲 あるいは 未熟)
White = Passive (消極性)
Purple = Passion (積極性)
Pink = Sign of life (いのちの象徴)
Orange = Family (家族)
- 丸の位置:
K: 色の丸の位置にも重要性がある。見ている人を中心において、丸は見ている人を逆方向、あるいは変化させるように位置されている。
- インタビュー:
K: インタビュー部分はシカゴで行われたJeff Mills (JM)と心理学者 (DRC)の口頭インタビューからの抜粋である。各部分は編集し、アレンジされている。インタビューはカジュアルなアメリカ英語で行われているので、読む人たちにとってときにはクリアではないかもしれない。会話の意味を理解するのには各部分のタイトルになっている引用を参照してほしい。
K:  最後の最後になってやっと光が見えたかのような、追われて追われてやっと出口 を見つけたかのような、そんな気持ちにさせられるラスト・ナンバー。見事なまで にアルバムとしての流れを締めくくっている。この「ライフライク」は単に作品の 寄せ集めではなくストーリー展開をしっかりと見据えて練られたものであることが ハッキリと理解できる。まるで一本の映画を見終えたような、、、こんなサウン ド・トラックを使った映画があればなんてすばらしいことだろう。
「人が適正に自分のものだと言える唯一の時間は、
自分だけのためにある時間である。
残りはある意味その中で生きているとはいえ、
他人の時間であって自分のものではない。」
Charles Lamb
Segment 1

DRC: あなたはコンセプチュアルアーチストなのでしょうか?
JM: そう言って問題ないだろう。
DRC: 音楽を媒体として…
JM: 手段として。
DRC: 今、38歳ですか?
JM: 36歳です。
DRC: 36歳。年齢について話したいことはありますか?
JM: いや、それより時間、時間の区切りについて。一年間365日、この業界では時間の感覚があまりないんだ。日曜日は火曜日とたいして変わらない。午後2時は午前2時と同じだったりする。時間は実際僕のライフスタイルの中ではあまり拘束力がない。年月などはあまり重要ではない。
DRC: 年、日、時間、分、秒、、、
JM: たとえば時間の単位で考えるとしよう。僕がのる飛行機はある特定の時間に発って、ある特定の時間に到着する。決まった時間に仕事を始めて、決まった時間に終わる。ホテルでベッドについて、目を覚まし、朝食をとり、などなど、時間で決められていることが多い。
DRC: つまり周りに合わせるために必然的に自分をある種のスケジュールにそうように調整せざるをえない。しかしできれば流動的でいられるようにしていますか?
JM: そうだね。でもあまり考えないようにしている。つまり、腕時計をしていても、それは僕にとっては何かの記念日を知らせるという意味でとても重要なくらいで、たとえば新聞を買ったりすることとか、日にちを基本にすることには大きな意味はない。時間、60分という区切りが僕にとっては一番重要かな。時を計る手段として。

「すべての人が才能を持っている。
希なのは才能を信じて暗闇の中へとついていく勇気である。」
Erica Jong
Segment 2

DRC: 自分に才能があることを他人に初めて指摘されたときのことを覚えていますか?
JM: いや、僕の年齢の人たちはだいたいバンドにはまっていて、KissとかYesと か。それで僕のクラスには20人くらいドラマーがいた。当時バンドに参加 することはすごくはやっていたんだ。僕もドラムをたたくをことを真剣に 習って、いや習うというより自分がやりたいようにドラムをコントロール することを覚えた。
DRC: ただビートをキープしたり、リズムを作ったりするよりも、さらにドラム で自分独自の音を作り出したのですか?他の楽器でもそうであるように。
JM: 自分では気づかなかったけれど、先生は気づいていた。僕はなんで彼が僕 にばかりプレイするように頼むのか不思議だったんだけど。たとえば Steely Danとか。同じページを何度も何度もたたかされて、ああ、また か、っていう感じで。
DRC: そして先生はあなたのドラムを聞いて、誉めたりしたのですか?
JM: そうだね。それが彼の仕事だったと思う。クラス中のドラマーのうち僕は 本当に確実なビートをキープできたり、その他にもいろいろなことができ て。あるいは僕のリズムがバンドのほかのメンバーと合っていただけかも しれない。とにかく僕は放課後にもさらに活動を続けたり。
DRC: バンドということ?
JM: そう。マーチングバンド、4ピースバンドやコンサートバンドに参加してい た。そうしているうちに11年生になって、奨学金制度を考えるようになっ た。しかしバンドで大学に行く候補になれなくて、バンドは辞めた。バン ドを辞めて学校の最後の年はとにかく勉強した。弁護士になりたいと思っ ていた。弁護士になるために必要なクラスは全部とったりして。そして卒 業したんだが、その時にはすでにDJとしてかなり人気がでていたんだ。バ ンドからDJに移行した時期だ。東海岸からHip Hopが現れて、僕はDJという 新しい趣味を始めるのに十分若かったんだね。 DRC: なるほど。

「自分の鼻の先についているものを見ようとするのはいつも難しい。」
George Orwell
Segment 3

DRC: あなたは絶対的にラッキーだった部類ですね。
JM: ああ、わかってます。もし今日すべてが終わってしまったとしても僕は十 分幸せだ。もしまったく別のことをしていたとしても、ここまで自分が到 達できたとしたらやっぱり幸せだと思う。こういうことをする最初のジェ ネレーションに属しているから。レコードレーベルを主催し、DJであり、 時には経理もやったりすべての役割を担っている。 僕を含め僕の年代の人たちがどこまでやれるかを決めるんだと思う。だか ら、僕たちは引退した人たちのことを新聞で読んだりするのではなくて、 自分たちがすべてだと思っている。制限なしに。
DRC: つまり、いますぐには終わらないと仮定して、それはかなり信憑性のある 仮定ですが。ではあなたはどこに行きつきたいのですか?36歳、まだ比較 的若いアーチストとして。
JM: 僕にとって、それともアートフォームとして?
DRC: それは良いポイントです。まずあなた自身から始めましょう。
JM: セオリーがある。僕が思うには、通常考えられているよりもっと大きなセ オリーが。テクノあるいはエレクトリック音楽には他のジャンルの音楽よ り多くのセオリーがあると思う。実際それがアーチストの創り出している ものなんだ。だから心理学的なものになる、あなた自身、個人という。人 になにができるのか、人がどう考えるかが実際人間を定義する。多くの 違った音があり、多くの違ったテンポがあり、多くの違ったパターンがあ り、違った色があり、違ったコンセプトがある。
DRC: そしてそれはたとえばカントリーミュージックとはどう違うのですか?
JM: うーん、正確には言えないけれど、カントリーミュージックにはとても特 徴的な音がそこにある。たぶんコード進行やスウィング、シーケンス、あ るいは話したり歌ったりしている歌詞の内容などなんだろう。テクノも大 して変わっているとは思わない。
DRC: でも把握するのはもっと難しい。
JM: 不可能だね。
DRC: カントリーミュージックに関して理解するのは少なくとも理論上は簡単で… 言っていることはわかります。
JM: 理由があるはずなんだ。音楽を作るという作業自体に。(テクノは)未来 の音楽を作ろうとするプロセスだ。今作ってるわけだから未来の音楽その ものではないけれど。試み。それがテクノだ。試みはどういう形でも存在 する。テーブルをこうやってたたいている人が、今まで聞いたこともない ようなとてもユニークな形でテーブルをたたくとしたら、それはテクノの 範疇に入る。
DRC: テクノは新しい、その定義は新しいオリジナルなもの。
JM: 壁に何かを埋め込もうとしているのとは違う。そういった作業とは全く関 係ない、それ以上のもの。
DRC: もっとフューチャリスティックで、新しくてオリジナルなもの。 JM: 考え。考え以外ではアクション、行動するものすべて。動機。
DRC: 動機。わかりました。
JM: そう、動機。だから他の音楽フォーマットとは大きく違う。だから全世界 の人たちにあっという間に受け入れられたのだと思う。メディアにとって テクノを分析し、本当にテクノがなんであるのかを定義することはとても 難しい。ただのがんがんのビート以上のものだから。そういうものとは全 然違う。テクノはテクノなんだ。

「この世の中では人は金床かハンマーにならなければならない。」
Henry Wadsworth Longfellow
Segment 4

JM: アートフォーム。すべての人がそれぞれ未来に関して、僕たちがどういう 方向に向かっているのかに関して独自の意見があるだろう。危機にむかっ て歩んでいる?たぶん世界は危機に陥るかもしれない。僕はむしろユート ピアに近い状況になるかもしれないと思っている。自分たちを完全化し て、自分たちの生活を完璧にして。音楽は時代の象徴でしかない。この質 問はもっとパーソナルな経験によるかもしれない。僕は、時がたつにつれ て自分たちは、間違いから学んで、より完璧になっていくだろうと思って いる。たとえば、人間の体についてより研究して、どうして人が風邪をひ くのかを研究する。そして予防できるようになる。すべてのことにおい て、僕たちは完璧な方向へと進んでいる。
DRC: その意見はおもしろいですね。Jeff Millsの頭のなかにあるものをさらに 掘り出すのにとてもよいポイントだと思います。完璧という言葉を使って いましたが、あなたのパーソナリティプロフィールから私が読み取ったの は、完璧主義ということです。これに関して言うことはありますか?
JM: 自分としては完璧主義とは思っていない。いや、間違っているよ。僕はよ く誰にでもわかるような間違いをする。常にそれと戦っているような状態 だ。同時に多くのことをやろうとして間違いをおかしたとしても、あるい は多くの違うことをやろうとしてそれらをものすごく早いペースでやろう としているとにき間違いをおかしたとしても、その間違いを訂正する時間 があるし、この業界あるいは競争のなかでまだ人より先んじていられる余 裕がある。
DRC: 実際間違いを訂正しています?
JM: ときにはわざと間違いをすることもある。人間だし。
DRC: 自分が人間だと言うことを証明するために?
JM: 人間であっていいのだということを証明するために。たとえ機械やケーブ ルなどに頼っていて、すべてが順序だち調和されるはずになっていたとし ても、ときには僕たちは間違いがあって当然だ。実際ときには間違える余 裕があることを知るのはとてもいいことだ。間違いをしなくなったら、学 習しなくなる。多くの場合僕は間違いを恐れないし、間違いがおこる余裕 を作っておく。
DRC: あなたのパーソナリティプロフィールに完璧主義がある理由はどういうこ となのでしょう?
JM: うーん、質問されたとする。答えがなかったとしても、質問の目的は答え を引き出す、曖昧ではない単純な答えを引き出すこと。それが僕があなた に16PF(訳注:心理学上の性格テスト)を依頼した理由だ。16以上の カテゴリーはあるのだろうか。あるいはそのカテゴリーにサブカテゴリー みたいなものが存在するのか?もし16しかないとしたら、その中から選 ぶしかない。今日僕は神経質だとする。自分が神経質な人間ととらえられ るように質問に答えている。自分で完璧主義者になるように努力していた わけではない。正直に質問に答えるようにしていただけだ。
DRC: 私が分析したことを説明しましょう。この会話を通して、本当のJeff Millsをさらけ出すことをとても重要視していることがわかります。あなた のオーディエンスが本当のJeff Millsは誰なのかを見ることがとても重要 です。そしてあなたは本当のJeff Millsを見せるにほぼ完璧なだけのこと を話すでしょう。たとえあなた自身が認めているように、Jeff Millsは不 完全であって、あなたが言うところの人間的であったとしても。
JM: 僕が思うには、僕はいろいろな場所に住んだことがあり、自分の性格をと てもよく把握している。なにが嫌いか知っているし、なにがとても好きか も知っている。まだ若く、業界に入ってきたばかりの人たちは、音楽を作 り始めて他人にそれを聴かせる前に自分自身や自分のやることに自信をも つことがとても重要だ。僕の考え方を理解することで、願わくばこれを読 む人たちは自分もそう僕と違わないということを発見するだろう。僕が やったテストの質問に同じように答えるかもしれない。よって僕が成し遂 げたことを実際することが不可能ではないことになる。実際そう特別なこ とではない。単に僕はひとつのことに執着して正しいときに常に集中して いるだけのことだ。そのほかのときは違う。僕は自分のやっていることを 本当に信じていた。正しかろうが間違っていようがとにかく信じていた。 この信念がスタジオの中にあるもっとも重要な楽器だよ。
DRC: 確信。
JM: そう。

「我々はある人たちを知らないが故に憎む。
そして憎んでいる故に彼らを知ることはないのだ。」 Charles Caleb Colton
Segment 5

JM: うん、実におもしろいことなんだが、僕がヨーロッパに行くとき、あるい はアメリカを発つとき、僕はとてもコントロールされた状況にいる。空港 に着くと僕をホテルまで案内してくれるセキュリティーがいて、僕は部屋 にチェックインする。市内をいろいろと動き回る機会を与えられていな い。たまには外へ出てみたりするけれどそれもとてもコントロールされて いる。ホテルを出るときにはまたセキュリティーが待っている。クラブへ 行き、セキュリティーに囲まれながらホテルの部屋にまた戻る。ヨーロッ パにいるときとアメリカの家にいるときとはまったく逆の状況。僕はサウ スサイド(訳注:シカゴの治安が比較的悪い地域)からきたJeff Millsか もしれない。実際はシカゴの中ではとても良いエリアである北に住んでい るのだけれど、街を歩いていると周りの人は僕が地元のブラザーだと思う かもしれない。つまりヨーロッパにいるときとは全く違う風に扱われてそ れがバランスを生んでいる。 DRC: なるほど。
JM: 意図的にそうしているんだけどね。
DRC: 自分を正常に保つため。

「若さの徹底的な定義は悲劇にまだ見回れていないこと。」
Alfred North Whitehead
Segment 6

DRC: 今人生の色という言葉を使いましたが、あなたにとって人生の色は何色で すか。
JM: 特定しなくてはならないとしたら緑と言うだろう。なぜなら僕たちはまだ 若い。まだ間違いから学んでいる段階だから。
DRC: 泉のように、あるいは木々のように緑。
JM: 緑、そう緑。
DRC: まだ子供のよう。
JM: そう。まだ学びきっていない。人間性について、見かけによって、あるい はしていることによってある特定の人たちを嫌ったりすることが完全に愚 かでばかげていることをまだ学んでいない。僕たちはその人がやっている ことを嫌っているのであってその人たち自身を嫌っているのではない。こ れには大きな違いがある。でも多くの人はその区別ができない。これは初 歩的なことだが、他にも多くのことがある。自分たちの環境や、自分たち 自身をきちんとかまっていない。だから僕たちは緑、僕が考える限りでは 何事も完璧にこなしておらず、まだ学んでいる。テクノでいえば、常に音 楽的にすでにピークに達し、これは落ちていくだけだというようなことを 聞く。だが、テクノ界のJimi Hendricksはまだ生まれてきていないし、彼 がギターを始める前にどのくらい長くギターが存在しただろうか。(テク ノは)まだまだ若い音楽だ。
DRC: (Jimiの登場によって)その後まったく変わってしまった。
JM: 永遠に変わってしまった。

「七転び八起き」
日本のことわざ
Segment 7

DRC: 決定論はどちらかというとあなたの信じていることですね。
JM: そうだね。もし何かしら断固決意したものがあったとしたら、もし空を飛 びたくて腕をばたばたさせることを、ひたすらやりつづけたら僕はたぶん それが可能になるのではないかと思うんだ。何事も不可能ではない、すべ てのことは可能である。もし十分な深い理由があればやり遂げられる。そ れが僕の信念だ。

「成功とは何だ?よく笑うこと。インテリな人たちの尊敬をかい、
子供たちから愛されること。正直な批評家の賛美を得、
よくない友達の裏切りに耐えること。美を評価すること。
他人の最もよいところを見ること。健康な子孫、庭の継ぎ足し、
社会の状態を回復することで世の中を少しはよくすること。
自分が生きたことでたとえ一人でも新しい命がよりよく生きることができること、
これが成功したということだ。」 Ralph Waldo Emerson
Segment 8

DRC: ヨーロッパのことに関してもう少し話してください。すこしづつその層を はがして核心に近づいていっているところです。あなたにとって今まで最 大の成功はなんでしょう。キャリアに関連することではなくてもかまいま せん。成功、達成。
JM: たぶん、何か特定のことではなくてある精神状態や人生の中においてある 段階に到達したということだろう。僕は何事に関しても誰にも何にも頼っ ていない。

「日のあたる時間だけが価値がある。」
日時計に記されたWilliam Hazlittの引用
Segment 9

JM: 僕は何をやろうとしているのだろうか。
DRC: Jeff Millsは誰なのか。(今会話していることは)あなたに質問するおき まりなやり方だと思います。私たちがここでやりたいのは、あなたがやり たいと思っていることは、、、、、、を作り上げること(訳注:、、、部 分はジェスチャーだったと思われる)。この過程の中であなたを音楽へと 導くものは何なのか、それを鮮明にしたい。人々はあなたの音楽をどのよ うにとらえ、あなたをどのように見ているのか。そしてその逆。あなた自 身は自分や音楽をどう表現できるのか。
JM: それは、僕が表現できるたぶん最善の方法は、そうベストな方法は僕は多 くの中の一人であるということ。何の多くかはわからない。ただ確信を 持って言えるのは僕も大多数のうちの一人であるということ。ある特定な 考え方をするうちの一人、このようなやり方で音楽を作る多数のうちの一 人、それはあなたが決めることだろう。僕にわかっていることは僕は大多 数のうちの一人であり、孤独ではないということ。もしかすると僕は自分 の考えを普通より早く関連づけられる能力があるだけなのかもしれない。 あるいは僕には世界中に15のディストリビューターがいて他の人たちが 知らないうちに僕の考えが伝えられるのかもしれない。それだけが僕が確 かに感じていること。
DRC: あなたは一人ではない。ではその他の存在、それは人間ですか。
JM: うーん、それは。。。。
DRC: 無意識の集合体?
JM: 僕が「僕」と言うとき、それは必ずしも人間としての僕をさしているとは 限らず生命の象徴をあらわしていると思う。たくさんの生命の象徴のうち のひとつ。それが僕が確信をもっている唯一のことで、その他は随意にな る。人の受け止め方によって。
DRC: わかりました。わたしが把握しようとしていることはほとんど芸術におけ る人生の禅的な見方のようですね。
JM: 時間という定義、僕の時間に関するコンセプトでいうと絶対的に。いつこ の考えが発展していったのかわからない。プレッシャーの中で長年をかけ て発達していったのだろう。一時、きまった時間の中で作品を仕上げ、 人々の興味を損なわないようにしなくてはならないとても大きなプレッ シャーのもとにいた。あるところまできたとき、僕はもういい、と思った んだ。僕が作るときに作る。やるときにやる。完成するときに完成するだ けで、その時が人々がそれを聞くときになる。それだけのことだ。お金は いらない、もし感じることがなければ曲を作ることはない。
DRC: なぜそう思ったのですか。途中でなげだした。
JM: 単に不可能だったんだ。世界中を飛び回りながら、ずっと家にいる人たち と同じように頻繁に音楽を作ることの両立はできなかった。すべてのこと をトライした。他人の機材を借りたり、機材を持って旅行してホテルの部 屋にスタジオを作ったり。ただどうにもできなかった。技術的にもまだ不 可能なのだ。機材をたとえ持っていたとしても電圧が違ったり。あまりに も困難で、それであきらめてしまった。そしてそのようなことをしている プロセスの中で、時間は感覚の中で作られていることに気づき始めた。時 間は実際自分で作っているものなんだ。自分で自分のタイムフレームを作 ることができる。特定の時間に自分がやること、自分が何かをやるのにど のくらい時間を意識しているかによってね。もし時間の枠に意識的であれ ば、つまり始まって終わるまでその間に起こるすべてのことを自分が実際 に自分のやりかたでできるんだ。他人の言うことや考えることを気にしな いでいれば、常に正しいことができる。ついには、そうやって人生の目標 をたてることができる。最後に振り返って、達成したといえる。誰も自分 のやり遂げたことを否定できない。だから、時間は僕にとって、1秒から 2秒、3秒へ移行するものではなくて、ある意味では回転する、反復する ものだ。何か良い考えがあれば、それは古くならない。僕が6年前に作っ た曲は明日にでもリリースできる。ヨーロッパに行き始めてから、僕に とって時間はそんなに重要ではなくなった。僕は常にそこにいた。あまり にも早く起こったので、たぶんほとんどそれに気づいていなかったんだ。 若い時いつもドラムをたたいていたけれど、ハンガーのようにリズムをた たいたりしていただけで、実際本当にスティックとドラムと皮を使っては いなかったんだ。
DRC: 自分が聞くすべての音楽のリズムをとても注意深く聞いて・・・
JM: 時間と時間の中にいるというコンセプト全体が変わった。もちろん、僕は 8時にここに来たし、他人のために時間は守る。でも僕の中では時間は順 序ではなくて終わりのない飛行機のようなものだ。多くの違った方面から 多くの違った領域を・・・

「教わったことは忘れてしまった。学んだことだけは覚えてい
る。」 Patrick White
Segment 10

DRC: 私は単なる知識人で、たぶんあなたが話しかける多数の一人でしょう。も しこの時点で芸術が言語の序文となる、必ずしも書かれたものではなくて も、口頭でしゃべることでもそうであれば、テクノは芸術である、しかし テクノの音が。このことはどのように説明しますか。
JM: そう、音、言葉も?
DRC: ときには。
JM: テクノの一部が音である、音なしではテクノはありえない。いや、それは 違う。テクノの定義を考えたとき、それは何か新しいものをつくろうとす る試みであり、コンピュータからサングラス、CDプレイヤー、家具のデザ インにいたるまですべてのものがカテゴリーに入る。テクノという領域 に。実際それゆえに僕は「Rings of Saturn」や「Atlantis」のようなコン セプトを創り出してもテクノと関連づけることは容易だったし、それはす べてが関連しているからなんだ。テクノが特定のひとつのものであると決 定づけていないからできることだ。単なるダンスミュージックを作ってい るだけで、トラックを作るのになぜ図書館に行って勉強する必要があるの か、というような批評を僕はよく受けるが、それはよりおもしろくしよう としているからだ。より広げようと。
DRC: 多産的であることには興味はないのですね。

「物事の論理と主観は我々の軸の中の精神の糧となる」
Jeff Mills
Segment 11 JM: そう、執着することはとても重要だ。とても大切、何かを買うのにどんなに小さな金額のものだとしても。目標を達成すること。実際数字は問題ではない。そう、数字は重要ではない。この業界の人にそのことを言うのは難しい。音楽業界は数字が基本になっていて、より多くの数字がより多くの成功を意味しているから。でもそれとは関係ない。影響力。僕が何かをつくり、それは誰でもできることかもしれないけれど、僕以外は聞くだけ。それで僕は達成したことになる。それでおだやかな気持ちでいられる。1万枚、2万枚のレコードを売るけれど、それは実際僕が必要としている以上のものだ。僕が続けるのに十分すぎる。僕は一人の人間が聞いてくれれば満足だ。





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