MODEL 500 LINER NOTES
 1962年9月12日、デトロイトに生まれたアトキンスは、もともとPファンクに心酔するバッド・ボーイだったそうだが、ラジオでクラフトワークの“ロボット”を聴き、衝撃を受ける。“聴いた瞬間に凍てついた。なにしろクラフトワークにはドラムのシンバルすら入っていなかった!”とアトキンスは当時の衝撃を振り返っている。クラフトワークにショックを受けて以来、アトキンスはYMOやニューウェイヴを聴くようになり、1980年には大学で知り合ったリチャード・デイヴィスとエレクトロニック・プロジェクト、サイボトロンを結成する。このサイボトロンが、デトロイトで初めて結成されたエレクトロ・プロジェクトだった。1981年に最初のシングルをリリースするサイボトロンの活動は1984年まで続いている。“テクノ・シティ”や“コズミック・カーズ”や“クリア”などがよく知られた作品だ。
 そして冒頭にも書いたように、1985年には自分のレーベル、メトロプレックスを設立して、モデル500名義での作品をリリースする。それらは同時期のシカゴ・ハウスと同調しながらヨーロッパへと広がっていく。最初イギリスではシカゴ・ハウスと同じようにデトロイト・ハウスと呼ばれていた自分たちの音楽を、デトロイト・テクノと呼ばせたのはアトキンスだった。また、同じ高校の後輩にあたるデリック・メイとケヴィン・サンダーソンにテクノを教えたのがアトキンスだったというのは有名な話だ。

 では以下、ホアン・アトキンスの軌跡を主要作品を挙げながら追ってみよう。
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