with ED DMX (DMX KREW)


- GRANTからのコメント -

彼のレコードをレコード屋で買って彼のことは知った。オランダのDAPレコードからの作品だった。そこに電話番号が書いてあったんで、彼に連絡をとった。僕がレコードを買うってことは、悪くないってことだと思うし、連絡先が書いてあれば僕はいつでもそういうアーティストに電話をする。彼と話したところ、彼はクリア・レコードにテープを送っていたけれど、そこのレーベルからは断られたと言っていた。彼から「僕に興味ある?」と聞かれたんで、「もちろん」と答えた。それが始まりだった。彼と僕とは音楽的にまったく同じようなものが好きだから、すぐに意気投合した。よくレコードをかけあって互いに聞かせあうんだけど、二人とも80年代の音楽が大好きなんだ。当時はそんなに好きじゃなかったというか、嫌悪さえしてたんだけど、今こうやって聞き返してみると、イギリスのチャートにあった音楽はすごくエレクトロなんだ。影響もずいぶんと受けてる。当時はすごく“薄すぎる”と感じた音だったけど、今聞くといいんだよね。なんで安っぽいレコードが好きかっていうと、笑えるだろう。音楽自体は大抵悪くない。テクノっていうのが悪名高きものであるとすれば、それはみんな“かっこよく”っていうことを意識しすぎてるからだ。“革新的であらねば”ということもある。そんなことばかり考えてると、楽しむという基本的なことを忘れがちになる。安っぽいおかしなレコードを聞くことで、意識過剰にならないようにってこともある。だからテクノは好きじゃなくても、リフレックスのレコードは好きなものがある、とかね。そういう風になってほしい。

 

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Q:DMXを始めたいきさつを。

A:自分でもよくわからない。小さい頃から音楽をやっていて、たまたまエレクトロの分野に夢中になった。エレクトロでもレトロというか、一番昔のものっぽい響きにしたくて、DMXというのを選んだ。やってるのはほとんど僕自身だけだ。時々友人に来てもらって、ヴォーカルを入れたりもするけど。エレクトロ・ミュージックをやる時に何か名前がほしくて、それでこう名乗るようになった。それだけ。

Q:最初に夢中になったのはエレクトロ?

A:いや、他のみんなもそうだと思うけど、最初はポップスだった。ラジオから聞こえてくるようなやつだ。最初に買ったアルバムは、クラフトワークの『ザ・マン・マシーン』だった。

Q:DMX KREWはあなたが中心だということですね。

A:そう。ただアルバムではトレイシーとかリーが入ってるけど。

Q:君がいっしょに住んでるのはそのトレイシーかリーなの?

A:いや、違う。リーは妊娠中だけど、僕の子供じゃない(笑)。

Q:ジャケットの顔は君なの?

A:そうだ。病的な顔してるだろう。もっといいジャケットにできるなら、代えていいよ(笑)。

Q:DMX KREWの前はどんなバンドをやってたの?

A:Rephlexでいろいろやってたし、デトロイト・テクノとか、その他諸々のことをやってた。いろんなことに首を突っ込んでるけど、僕がテクノのアルバムを出すことは意味がないと思ってる。それは他のアーティストの方がよっぽど巧くやれるからだ。もちろんエレクトロ系の音を作ってるアーティストもたくさんいるけど、現在のところ僕はそっちの方をやってる。最初のDMX KREWのアルバムはエレクトロじゃなくて、ソウル・テクノっぽかった。今でも、エレクトロというよりもっとポップ寄りだと思うんだ。僕のアルバムは聞いた?

Q:聞きました。

A:バカみたいなこともやってるだろう(笑)。自分のレーベルでの方がもっとエレクトロをやれる。リフレックスではエレクトロというよりも、もっと幅が広い音楽になってると思う。

Q:リフレックスとの契約はどんな風に?

A:グラントが僕のファースト・シングル持っていて、それはオランダのレーベル、DAPからリリースされたものだった。そのレコード・レーベルに僕の電話番号が載っていたから、彼が電話をかけてきた。「いい感じじゃないか。その調子でがんばれ」と言ってきたんで、「レコード契約してくれよ!」と僕が言ったら、「さぁ、それはどうなるかわからない」と言われた。そしてデモを送ったりして、契約したんだ。最初はEPだけの契約で、それがアルバム契約へと発展していった。そのアルバムが『Sound of the Street』だ。そういった感じだった。

Q:契約できてうれしかった?

A:もちろん。夢が実現したって感じだった。以前はこちらからテープを送っても何の音沙汰もなかったのに、今度はあっちから僕を見つけて連絡してきたんだから。信じられないよ。僕が契約し得る最高のレーベルだと思う。

Q:あなたはディスコとかの音楽を使ってやっているわけですが、そういった音楽は現在プロデューサーからはあまり注目されてないみたいですよね。

A:そう。でも、僕は注目されたいから音楽をやってるわけじゃなく、自分がやりたいことをやってるまでだ。僕が使ってるのはポップ、エレクトロ、実験的なことがベースになってるけど、自分でやりたいようにしてるってことだけだ。グラントと僕は最悪のレコードばかり買って、どのレーベルが最悪かなんてことをやってるけど、そんなのばかり聞いてるから、そういったのが好きになったりもする。だから僕の音楽を好きになるやつが出て来るんだろう(笑)。

Q:ベースが効いたやつが最初から好きだったんですか?

A:それは最近の傾向だ。でも前からプラネット・ロックとかは好きだったし...。まだ子供だった頃、11歳くらいの時は、ポップ・チャートに入っていれば何でも聞くし、一つのジャンルしか聞かないなんてことはないよね。パンクもソウルも聞いたし、それからエレクトロニックの方へ傾いていった。

Q:君の音楽は時代遅れだとか言う人はいる?

A:いるよ。僕がやることは全部冗談だと思ってるやつもいる。レビューなんかで、おもしろおかしく酷評されることもある。なんか本当におかしいんだ。だってシングル「You Can't Hide Your Love」のレコ評なんか、ヴォーカルはサム・フォックスのようで、キーボードはシャカタクみたいだと言われた。それって酷評されたってことだよね。全部が同じことを言ってるわけじゃないし、ま、解釈のしようによっちゃ、サム・フォックスやシャカタクに似てると言われるのはいい事なのかもしれないけどね。どちらにしても関係ない。評論家が何と言おうと、レコードを本当に買ってくれるみんなに気に入ってもらえればいいわけだから。自分が夢中になれて、そういう風なレコードが作れれば、聞く人だって夢中になってくれると思う。それでいいんじゃないかな。

Q:80年代のそういった音楽が好き?曲を作る時もそういうのを意識する?

A:さっきも言ったけど、いろんな雰囲気の曲を作るから、80年代の音といことじゃ限定できない。DMX KREW独自のスタイルというものはあると思うし、それでも僕はいつも違うことをやろうとしてる。一つのスタイルはあるかもしれないけど、それ以上のことをやろうといつも心がけてる。

Q:クラフトワークの名前が出ましたが、好きなアーティストは?

A:クラフトワーク、エイフェックス、それから...僕のレーベルから出してるマンドロイドはすごいと思う。マイアミのメガトロン、昔のハウスでマジック・フィンガーとか。シカゴのものとか...。一人の人がずっとすごいっていうんじゃなくて、例えばヒューマン・リーグなんかは3-4枚がすごくよかった。でも残りの10-15枚は最悪!(笑)。

Q:曲を作る時は通常どんな風にして?

A:すごくいい曲だと思った時は、一週間くらい自分の頭の中で具体的にどういう風にしようか考える。または、楽器を弾きながらジャムってるうちに、曲が出来てくる。調子がいい時は頭の中で、ああしたい、こうしたいっていうのがわき出てくるから、スタジオ入りが待ち遠しいくらいだ。具体的にやりたいことが分かってるから、そういう時はすごく早くできあがる。

Q:家で仕事をする?

A:するよ。いつもここでやってる。

Q:メイン・マシンはDMX?

A:いや、持ってないんだ。音はサンプルしてあるけど、DMXを使うのはおっくうでね。音はサンプルしてあるから、音的には使ってるけどね。

Q:それじゃ、コンピューターは使用してない、と。

A:使ってない。シーケンサーだけだ。

Q:ライヴはやる?

A:しょっちゅうやってる。東京には4月に行く予定になってると思う。

Q:ショーでは80年代っぽいダンスとかはする?

A:いや。ステージ上に女性ヴォーカルを呼んだり、ブレイクダンスをする男性を雇うこともあるけど、常にそうしてるわけじゃない。

Q:シングルが出てるBreaking Recordsというのは、君のレーベル?

A:そう、僕のレーベルだ。

Q:さっきすごいと言った男性の名前は何でしたっけ?

A:マンドロイドだ。

Q:彼もエレクトロ?

A:そう。

Q:他のレーベルから作品が出る予定は?

A:今のところないけど、将来的にはミュンヘンのDJハウス・レーベルのジゴロから何かを出すかもしれない。クラフトワークのカヴァー・ヴァージョンを2つばかりやってるところだから。

Q:他にリリース関係で僕らが知っておくべきことは?

A:シングルはBreakingから、ニュー・アルバムはリフレックスからリリースされる。それからツアーに戻ると思う。

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