1997年・夏・話題騒然!

テクノ・アニメ・ゲーム
今の3大ブームが三位一体となった
超強力作品が登場
ゲームでは1997年No.1の話題作、アニメで全米ビルボードNO.1のセールス記録、そしてテクノで史上初世界最強のコンピレーションという、3つのNO.1を持つ作品。

攻殻機動隊
「GHOST IN THE SHELL」

PICTURE
(C)SHIROW MASAMUNE
/ KODANSHA LTD.
(C)1997 Sony Computer
Entertainment Inc.
/ KODANSHA LTD.

about 攻殻機動隊(マンガ)

そもそも、士郎正宗という作家が持つこだわりのカルト性は、関西ベースの青心社 を舞台に活動していた頃には、本当のマニアたちのモノだった。大阪芸大在学中(日 本画を専攻していた)に自費出版した「ブラックマジック」(後に青心社から発売) でマンガの世界に殴り込みをかけ、85年には現在でも熱狂的なファンを持つ「アップ ルシード」(青心社)でデビュー。その緻密な書き込みと、独特なキャラクター、そ して社会、政治、メカ、建築など細部まで徹底的に作り込んだ設定が驚きを持って迎 えられた。

大友克洋以降続々と出現したリアルな書き込みによる近未来SFアクションのマンガ は、ほとんどが大友の模倣に終始して、結局何も残せないまま消えていった。士郎正 宗自身も大友の影響を認めているが、その超然たるオリジナリティーは、最も初期の 作品から確立されていたと言っても過言ではないだろう。大友があくまでも映画的な カメラ・アングルや動きの描写にこだわるのに対し、士郎の描く画面は、どちらかと 言えばマンガ的な虚構に支配されている。しかし、テロが横行し、進化したメカが跋 扈する世界に違和感無く溶け込む二次元的顔立ちの女性キャラをはじめとして、その マンガ的な手法が彼の作品の大きな魅力のひとつになっていることも事実だ。

単行本書き下ろしという、(作品に対する)作家のわがままが通せるスタイルで作 品を発表していた士郎は、クオリティー・コントロールに細心の注意を払うため必然 的に寡作になり、これまで発表された数編の作品はすべてカルト人気を獲得している (しかしそのどれもが未完である)。そんな彼が、初めて雑誌連載、しかも超メジャ ーの講談社、ヤングマガジン(初期は海賊版という増刊号)を舞台にしたのが、「攻 殻機動隊」である。

ナノテク、サイバー・パンク、AI、アクション、リアルな兵器、そして美形女性キ ャラと士郎の得意技に最新SFの要素をすべてぶち込んだこの作品は、哲学的なテーマ を背後に持ちながらも、驚異の完成度で一気に士郎正宗の名をメジャーにするのに十 分な魅力を持っていた。89年の執筆開始から10年近い年月が流れた現在でもまったく 風化していないその世界観は、まさに世界レヴェルのモノだった。

「アキラ」がアメリカで出版されたときには、アメコミのスタイルに倣ってすべて のページが着色されたが、「攻殻」は、より日本式スタイルに忠実にリリースされた 。スタジオ・プロテウスという超マンガ・マニアの社長が経営するプロダクションの 手による完成度の高い翻訳と、まったく隙のないリタッチ(書き文字などを英語化す ること)は、ホンモノのマンガを求めていたUSのOTAKUたちに歓迎され、アニメ化さ れていない作品としては異例の大ヒットをつかみ取る(それが、後の「攻殻」の映画 の成功にも結びついていく)。

士郎正宗のようなペースで執筆する作家が海外で評価されたのは、偶然とは言え、 理由のないことではなかった。「アキラ」ほどの長尺のストーリーを持つモノは、あ れほどの起爆力を持っていたにもかかわらず、なかなか進展しない物語が終了するま でついてこれる読者はアメリカにはほとんどいなかったため、ほとんどのひとが結末 を知らない。それに比べて士郎作品は多くの場合、根底に流れる共通したテーマはあ っても、基本的に数十ページの読み切りというカタチで作られている。まだまだマン ガという文化が羽化を始めたばかりのアメリカのシーンには、まさにうってつけのも のだったのだ。さらに、多様なテーマで作品を描く大友などと比べると、すべての作 品世界が同じ時間軸の異世界にあるような一貫性のある士郎ワールドが、初めて海外 のファンに“作家を追う喜び”のようなものを与えたのだとも考えられる。

現在までに既に30万部以上を売っているという「攻殻機動隊」の単行本は、映画版 同様、素子が去るシーンで一応の完結をしているが、現在はヤングマガジンでその第 二部にあたる“MAN MACHINE INTERFACE”というシリーズが不定期連載中である。91 年から着手されたこのプロジェクトは、年に1エピソードという驚異のスロー・スピ ードで発表されファンをやきもきさせているが、現在準備中のエピソードでは、遂に 素子が帰ってくるのだという。

"「攻殻1」では心身二元論から万物連鎖論までを、浅くなめたつもりですが、い まいちわかりにくかったので「攻殻2」では『増殖』をネタに連結から部分集合と階 層化までいけたらいいなと思ってます"(士郎正宗インタヴュー、ヤングマガジン増 刊赤BUTAより)と語られる今後の展開は、本当に世界から注目を浴びるものになって 行くだろう。

TEXT : KEN=GO→

これが攻殻機動隊だ!
攻殻機動隊のオープニング・ムービがここに!

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