──実際レコーディングの現場はどんな感じてやってるんですか?

麻美:たぶん他の方と較べてKiss Destinationはすごくゆったりしている……させてもらってるんと思います。私、お酒とか飲むと、自分のやりたいことガーッと出せるんですよ(笑)。素だと歌うってことにテレちゃうんです、今だに。そうすると、本当はフェイクとかもやりたいのにできなかったりして……。照れ屋なんです。ホント。そういうのをたぶんTKは見抜いてて、ワインとか持ってきてくれて(笑)。「ちょっと飲めば」みたいな……。「じゃあ」って、飲んでから歌ったり。そういうときもあったし。もちろんいつも飲んで歌うわけじゃないですよ、念のため(笑)。

──レコーディングしているときって、ブースの中で踊りながら歌ったりしてるんですか?

麻美:「昔はそうでした。昔はノってなんぼで……。踊らなきゃ、ノらなきゃ出せなかったんですよ、歌のグルーブ感とか。最近はなんとなくつかめるようになってきましたね。ちょっとさまになってきてるのかなと思うんですけど、歌も。でも振りとかはだいたい思い浮かべます、レコーディングしながら。Kiss Destinationは曲作り、トラック作りの最初の段階から一緒にスタジオに入るんですね。TKと私で。それで最初のリズム録りとかを聴きながら、私の中で踊りのイメージが生まれてくるんです。そして、TKの横でちょっと振りを考えて踊ってみたり。

──ダンスの先生に聞きたいです(笑)。そういうときのヒントってなんかあったりするんですか?

麻美:音のおもむくままに、気持ちを音にあわせるっていうか……。たとえば最近、TKって変速ビートを結構使っているじゃないですか。パンパン(といって手を叩く)っていう音があったらそこで腰をヒットするとか、音からヒントを得ますね。見ている人が気持ちよく、楽しく見られるかっていうのは考えますね。あとはふつうは(リズムを)取れないようなところで(腰を横にして)ヒットを打てば、見てる人も面白いと思うし。ワン、ツウ、スリーって単調な踊りの繰り返しだと、見てる人も面白くないじゃないですか。ダンスは、リズム遊びっていう感じはあります。

──さっきから話しを聞いていると、一人の人の中にいろんな人がいるみたいですね。しっかりしているあなたと、わりかしのんびりしてるあなたと。

麻美:あ、やっぱり分かります?(笑)。 私って“これだ!”って思うまではどうでもいい感じなんです。わりとゆったりかまえて。だけど“これっ!”て思ったらもうバーッと一直線、それも猛スピードで。そうなると、もう他はどうでもよくなっちゃう(笑)。

──ところで、Kiss Destinationでは詞も書いていますね?

麻美:作詞は昔から好きだったんですよ。今思えば。実は小学校1年生のときに「涙」ってタイトルの詩を書いたんです……もう今ではよく覚えてないんですけど、たしか「涙は悲しいときに流れるもの、涙はさみしいときに流れるもの、涙はうれしいときに流れるもの……涙はきれい、ダイヤモンドのなんとか」っていうの。小学校1年生が涙をテーマに選ぶなんて、ちょっとすごいと思いません?(笑)。中学生のときも作詩ノートとか作ってましたね。好きだったんですね、散文風の詩とかが。中学生のころは銀色夏生さんがすごく好きでした。だから作詞に関してずっと手掛けてみたいと思ってましたね。Kiss Destinationを結成してからは、書き溜めてたものをTKに渡しました。でも実際の曲の作詞の場合は、曲ができあがってからそれを聴いて、イメージして、キーワードを叩いて、書いていきました。

──日本の音楽でも海外の音楽でもいいですけど、この人の詩が好きっていうのはありますか?

麻美「吉田美和さんですね。日本人だと。カラオケ行ったら絶対ドリカムですしね。ドリカムばっか歌っています。あの人の声とか、本当に好きですね。そうそう、ドリカムといえば、ニューヨークですごくうれしいことがありまして(といって微笑む)。ドリカムを育てたソニーの方にニューヨークでお会いしたんです。そのときに、私の最初のデモテープを聞いてもらったら「美和ちゃんのデビュー当時の声に似てるね」って言われて。もう頑張らなきゃ! って嬉しくなりました。私の中の唯一の日本人ディーバですね、吉田美和さんは。外国人ではやっぱブランディですかね。あの声に、もうゾクゾクきちゃって。あの低音の響きが好きなんです。自分も同じタイプだと思いますし。恐れ多いけど……。小室ファミリーの方たちって歌い上げるタイプの方が多いじゃないですか、その中でいかに自分のカラーを出していけるかって、その辺のことは考えてますね。私は私の個性で勝負しようって。音的にはミッシーとかティンバーランド系が昔からすごく好きです」

──やっぱりそれも踊りうまいからですよね。ティンバーランドってリズムの取り方が下手な人って、どこがいいのかわからないと思う……最後に今一生懸命やってることって何ですか?。

麻美:何だろう、飲み?(笑)。実は今、女の子13人でチーム・シュガナンっていう夜遊びのチームを作ってて(笑)。濃いメンツです。職業はバラバラなの。で、知らない間にリーダーになってたんですけど、私……。

──チームの目的と構成は(笑)?

麻美「楽しむ(笑)。何事においても楽しむ。今ね、ピンキーリングを今作っているんです、チームの。そんなことが楽しいのね、今。

──みんなでクラブに踊りに行ったりもするんですか?

麻美「します。します。もうバンバンに! 最初は部屋で5、6人で飲んでるだけなんですけど、いつのまにか人数が増えて、最後はクラブ行こう! って。(行くのは)渋谷とか普通ですよ。でもダンサーですからね。昔からの。踊りまくりますよ、もう。レコーディングとかでしばらく(クラブに)行けなくて、久しぶりに行くときなんかは、もう大変です。会うなり「はいテキーラ。久々なんだから」って、知り合いに会う度に飲まされるの。帰りはベロンベロンみたいな。容赦ないですよね。挨拶はテキーラ。踊って汗かいて、テキーラ(笑)。そういう自分の中の楽しみもありつつ、今の目標は歌をもっと伸ばしていきたい、頑張りたいってことかな。歌と踊りのバランスがようやく自分の中で取れてきたって感じなんです、今。









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