また道に迷ってしまった。断固として言うがこれはぼくひとりのせいではない。何しろ誰も丁寧に地図を見ようとしないところがよくない。3人それぞれに理由がある。ドライバーのぼくはアトランタ通ぶって見ない。ナビゲイターのはずのN氏はコンタクトレンズを日本に忘れてきた。画伯ははなから見る気がない。この3人は異郷の地への好奇心を高めることと非建設的であることの2つを見事に両立させている。  加えてこの日の3人は朝からどうかしていたのである。朝10時からの『FOX THEATRE』内部見学ツアーに寝坊したところから悪運は猛威を奮い始めていた。
 がしかし、天気のみは、日本を発つ際には極寒と予想されていたにもかかわらず、蓋を開けてみれば到着した日から今日までずっと快晴。雲ひとつない青空ゆえに悪運も見えなかった、と言っておこうか。





ジャケ写にもなったキング牧師の墓にて

 マーティン・ルーサー・キング、スパイク・リー、またあるいはギャングスターのグールー。彼らは揃ってアトランタの名門黒人男子大学・モアハウス大(MOREHOUSE COLLEGE)の卒業生である。リー監督初期の代表作のひとつ『SCHOOL DAZE』は88年の公開当時「ブラック版『ANIMAL HOUSE』」と評されたものだが、『ANIMAL HOUSE』がシカゴを舞台にしていたのに対し、『SCHOOL DAZE』はアトランタを舞台にしていた。この違いは大きい。映画の主たる舞台、黒人男子大学のモデルとされたのは無論モアハウス大だった。そしてまた映画の設定と同様、モアハウス大の隣には黒人女子大学スペルマン大(SPELMAN COLLEGE)がある。
 ぼくのアトランタで最も親しい友人にしてダラス・オースティンのオフィスで働くジュリアン・ライトもまたここの卒業生である。オースティンの周辺は同大出身者が多い。話をよくよく聞いてみると、大学進学にあたってアトランタに移ってきてそのままここに残っている者が多い。そういえば伝統あるアフリカン・アメリカン向けの雑誌『EBONY』における「黒人が住みやすい都市」アンケートで、アトランタは久しくトップを独走している。ライトの妻はスペルマン大の卒業生である。「ひとつの理想の形」と彼は笑う。
 そんなライトに一度連れて行ってもらって感激したモアハウス大に画伯とN氏のふたりを案内したかった。できればライトの同行ガイド付きというのが最も望ましいが、今回の滞在中、ライトはLAで開かれているMTV大賞に出席しており、アトランタにはいなかった。





『I HAVE A DREAM』とはキング牧師のオコトバ






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モールUNDERGROUNDでプリクラ。画伯の表情を見よ!
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