01. 大きな古時計[♪SOUND|RealWindows Media] [■VIDEO|RealWindows Media
02. Grandfather's clock
03. 大きな古時計(less vocal)
04. PAUL

平井堅と「大きな古時計」

古時計の秘密
童謡の定番の一つといっても過言ではない「大きな古時計」。
歌に綴られた物語は哀愁たっぷりで、学校で習った時、子供心に切なさを感じた人も多いでしょう。おじいさんが生まれた朝に家にやってきた、“大きなのっぽの古時計”。おじいさんの人生を百年休まずにずっとみつめてきた時計は、やがておじいさんが亡くなった時、まるでおじいさんの命の灯が消えるのにあわせるように最期の力を振り絞ってその鐘を鳴らし、やがて時を刻むのをやめる...
大人になった今、あらためて聞くと、これは物凄い名曲です。

切ない歌詞と、メランコリックなメロディーを持つこの童謡は、1876年、今から120年以上も前にアメリカで生まれました。作者のHenly Clay Workは、19世紀のアメリカの有名な作曲家です。日本では昭和37年にNHK「みんなのうた」で紹介され、音楽の教科書にも載って童謡の定番となります。

実はこの「大きな古時計」は作者の家族に起こったエピソードをもとに作られたそうです。アメリカ・マサチューセッツ州にある作者:Henlyの生家の傍には、この歌のモデルとなった時計が今も大切に保存されています。悲しいおじいさんと時計の物語は、実話だったんですね。

平井堅の秘密
カッコイイR&Bを歌う平井堅ですが、実は彼、歌謡曲も大好きです。少年時代のアイドルは、松田聖子、中森明菜、サザンオールスターズ...と、もろに「ザ・ベストテン」の影響丸出しなところが微笑ましいですね。そんな彼の中でも「大きな古時計」は特別の歌だそうです。母親が台所で歌ってくれたこの歌を、平井少年はいつも口ずさんでいました。平井堅が好きな歌を遡ると行き着くのがこの、「大きな古時計」です。

昨年夏の出来事
昨年夏、番組の企画で、彼は古時計のルーツを探して、アメリカを訪れました。
実在の時計を護る家族と出会い、歌のバックグラウンドを学んだ平井堅は作者Henly Clay Workゆかりの教会で聖歌隊をバックに「大きな古時計」を歌いました。
最初は英語で、そして日本語で。
平井のアカペラに重なるパイプオルガン、そして荘厳なクワイヤー。
それはとてもスリリングな瞬間でした。100人ほどの聴衆は固唾を飲んで聞き入っていました。
そして、大喝采。
平井堅の透明な歌声は海を越えて、そして時を越えて「大きな古時計」に新しい命を吹き込みました。

そしてこの夏
新たにレコーディングされた「大きな古時計」。
なにより平井堅ならではの美声が堪能できます。そして曲の素晴らしさに素直に打ちのめされます。
日本語版のほか、「Grandfather's clock」としてカップリングされた英語版もとても美しい仕上がりです。
是非、少年時代を思い出しながら聞いてみてください。
夏の終わりに、いい感じにセンチになれると思います。



NHK「ミュージック・カクテル」/NHKドキュメンタリー「平井堅・楽園の彼方に
〜アメリカ“大きな古時計”を探して」 ディレクター
柴崎 哲也