:: SPECIAL

SPECIAL.1
「Platonic」全曲解説 第三弾(M-4,5,10,12追加) text:伊藤亜希
M1.YUMEMITAI
 この曲を1曲目にもってきたのは、イントロの個性的なギターのリフをアルバムの最初に持ってきたかったからなんだよね。理由はそれだけ(笑)。この曲ね、あたしが作ったデモテープと、まったく一緒なんですよ。ASA-CHANGにデモテープ渡したら「もう出来てるから、このまんまで」とか言われて「いいの〜?」みたいな。彼は、ボーカルに重点を置きたかったらしくて「とにかく愛葉のボーカルを出したい、出したい」って言ってくれて。だから、本当にボーカルのために作られたバックトラックだと思う。実はこの曲のレコーディング中、あたし、1回、泣いたのね(笑)。サビのコーラスの♪Ha Ha Ha Ha Ha〜♪ってところがあるでしょ。それが中々録れなくて泣いたんだよね。なんで泣いたかっていうと、自分のやりたい声……音域が出なかったり、声質が違ったりすると、私、感極ってしまうのね。こう……不甲斐なさを感じる余裕も無い感じで、とにかく"うわ〜っ!!"って泣いちゃって。そしたら、ASA-CHANGが慌てて。当然だけど慌ててね「ちょっとちょっと、休もう休もう」とか言われて、あたし、上で休んでたんだけど、10分くらいで復帰して。そしたらASA-CHANGびっくりして「早い!」って。「泣くのも早いけど、復活も早い!」とか言ってた(笑)。
M2.Platonic
前のツアーのリハか、レコーディング・リハの時。downyと一緒に、練習で作った曲。みんなでやってた時に急に思いついてテープに入れて、そのまましばらく放っておいたんだよね。何かね……作ったはいいけど、恥ずかしくて、何か歌えなかったの。スタッフとか、他のみんなが「これいいから出そうよ」とかって言っても、絶対に聞き入れなかったの。多分ね、自分が17〜18歳くらいの小娘になったつもりで作ったから、出来上がったら、それが急に恥ずかしくなったんだど思う。前の晩に書いたラヴレターを、次の日の朝に読み返してみたら……みたいな恥ずかしさ(笑)。で、恥ずかしさを抑えるために、いろいろ他に作ってくっつけてみたりもしたんだけど、やっぱり元が1番良くて、結局、元の形に収まったんだけど。もうねぇ…♪抱きしめてBaby♪っていうのが、恥ずかしくて恥ずかしくて(笑)。でもね、今は全然、恥ずかしくないの。不思議なことに。1年くらい寝かせたら、何かもう……吹っ切れて、ブチ切れて歌えるようになっちゃって。なんか……1年で生まれ変わっちゃった感じ?(笑)ものすごく、生まれ変わるサイクルが速いから、私の場合。私のこのサイクルをよく知ってる人は「そのうち、脳みそツルツルになっちゃうよ」とか言うんだよね。生まれ変わりすぎて、赤んぼと同じくらい、ツルツルになっちゃうって言うの。いつも、いい方向に生まれ変わってるから、それでいいじゃんって、言われるんだよね。この曲は1発録り。ミキシングをやってくれた益子樹さんは、素直なミキシングをする人だなぁって印象。だから、打ち込みでも合うし、バンドでも合うんだと思うな。だから、私の曲だと、やっぱり素直なバンドサウンドになったなぁ、と。
M3.living source
 この曲はデモテープとまったく違う。メロディーは一緒なんだけど。デモでは私がバックでギター入れてたんだけど、もう全然違うものになったからね。まず、それが嬉しい。あたしね、この曲のアレンジがかなり好きで。すごい可愛い感じに仕上がってて大好き。砂原さんは、とてもよく喋る人。よく喋るし、落ち着きもないんだけど(笑)、でも、すごいいい人で。何度も曲のことで電話してきてくれて。それがいつも夜なのね。一時期、夜になると砂原さんから電話がくるって状態が続いて。なんか……向こうは全然思ってないと思うんだけど、ちょっと擬似恋愛してる感じだった(笑)。その関係もね……なんか、ステキだったんだな〜。音楽に対して、すごい情熱的な人で。「とにかく、愛葉ちゃんの思ったとおりに、きちんとやりげたいんだ」って言ってくれて。もう、毎夜毎夜、恋人同士になりたての2人が、熱烈に愛し合ってる時期の2人が、熱く語り合ってるって毎日だったんだよね。この曲は、歌詞が元々あって。あたし、大体、鼻歌と歌詞が一遍に出てくるんだけど、これは、大体、鼻歌でできた時にバーッと書いちゃった、そのまんまの歌詞。結構……自分の心情を書いたもので、まぁ、あんまり人の気持ちを代弁しようとかいうのは元々ないから、だいたいいつも、ごちゃごちゃしてる自分の頭の中のことを書くだけなんだけど。やっぱり、恋することが、自分にとってのliving sourceだから。空気を吸うように、息をするように恋をする。そこを書きたかったの。
M4.Naked Sun
 贅沢な曲!アレンジを小山田くんとあたしが一緒にやって。小山田くんがギターで、ナカコーがボーカル。ナカコーに一緒に歌ってもらったんだよね。私、今回のアルバムのために、25曲くらい曲を書きためていたんだけど、この曲はどうしてもギターと歌だけでやりたいと思ってたのね。でも、自分のギターじゃないっていうのは、はっきりわかってて。小山田くんとは、今回のアルバムでは他にも「marmaid」って曲で一緒にやってもらったんだけど、小山田くん、本当に落ち着きが無いのね(笑)。暇な時間、常にギター触って音出したりしてるんですよ。それがやっぱりとてもいい音で、そういうギター弾いて欲しいなぁと思って、お願いしました。彼のギターの魅力はね……普段はわりとぼけ〜っとしてるんだけど、ギタリストになるとこう……前のりになるというか。ちゃんと小山田カラーがあるんだよね。曲の最初の♪ジャッ、ジャッジャーン♪って、ステレオで聴こえてくる感じとか、本当に小山田くんにしか出来ない構成だな、と。あと、すごく音に張りがある。ギターの音に張りがあって、そこが好きなんだよね。ギタリストって、頭の回転が速い人が多いと思うんだけど、彼のギターを聴いていると"あ、この人、頭の回転、速いなぁ"っていつも思う。あとはね……彼がいれば、どんな曲でも、なんとかなるっていうのが、魅力かな(笑)。
M5.till the time comes
 もう、この曲は本当に楽しい。これはね、downyの裕くんが作ったトラックがまずあって。彼、つい最近になって、打ち込み始めたんだけど、そしたらいきなりトラック作ってきて。それで「このトラックに合わせて、ラップしてみなよ」って言われたんだよね。最初は「えぇ〜!?ラップですか、先輩、できませんよぉ〜」って感じだったんだけど、でもちょっとだけやってみようって感じも出てきて。で、初めてラップを。そのこう……初めての歌わされてる感が可愛くて。自分で言うのもなんだけど、聴いていて、たまらなく可愛い。レコーディング中も、ハンドマイクで歌ってみたり。もう歌ってて、自分がすごく恥ずかしくて"あたし、誰よ?"みたいな感じだったんだけど、それが、すごく可愛らしさ につながったと思うんだよね。でもね、こうやって、アルバム出来上がってみて、改めて自分のラップを聴くと……やっぱもう半年くらいは、封印しておきたい、放っぽっておきたい感じが強いかな(笑)。だから、トラックを作ってくれた裕くんには「トラックは本当に素晴らしいのに、歌が申し訳ない」って言ったんだけど、そしたら彼は「そこがいいんじゃん、初々しくて。下手に馴染んでないからいい。逆に、激うまラップとかだったら、恥ずかしいよ」って言ってましたね。
M6.Secrets
シングル「Silly Girl」のカップリングにもなった曲。ex.CIBO MATTOの美保ちゃんにお願いしたんだけど、このアルバムの中で、唯一、女性と一緒にやった曲ですね。まさか自分が女性のプロデューサーたてるとは思わなかったな。美保とは、シーガルの時からすごく中がいいし、美保が"SMOKEY&MIHO"でやってる音もすごく好きだし、同世代で、クリエイターとして尊敬できる最初の女性だと思ってて。だから、絶対に一緒にやりたいと思ってたの。何曲か聴かせて、美保が気に入ったのが「Secret」だった。その時、美保が「愛葉の歌に、すごくヒップホップのグルーヴを感じる」って言ってくれて、それが嬉しかった。この曲は、デモとまったく違う仕上がりになった。デモでは、ギターもエッジがきいてて、たたみかけるようなビートだったの。すごく前のりのビートだった。それが、すごいフィードバックしたリズムになってきて。速いけど、後ろでビートとる、みたいな。すごくファンキーな曲になったと思うな。レコーディング中は、美保が考えて、それを私がバッって発言して、仕切っていくって感じで。プロデューサーは美保だけど、でも仕切りはあたしみたいな、微妙な関係でやってたんだけど、でも、進行はすごい速かった。「あたしの作業にしては、すごい速い」って、美保もびっくりしてたもん。美保は、M BOXっていう……ちっちゃい箱なんだけど、ハードウエアで、マックに繋ぐと、ロジックみたいに曲を組み立てられる。多分そのまま録音できるという、マルチな機材。それをニューヨークから持ってきて、やってくれました。
M7.evergreen
この曲は、前からライヴでやってた曲で。だから、ライヴの時とベーシックなラインは変わらないんだけど、チェロとバイオリンが入ってる。この曲は、あたしの息で入るところが結構あるので、その空間の音を大切にしたい、と。だから、エンジニアのZAKと相談して、みんなでライブで録っちゃおうってことになったんだよね。部屋の空間の音、アンビエントの音も録った方が雰囲気が出ると思ったから、ベーシックなラインをまず録って、その後にチェロとバイオリン一緒に録って、そこに由美ちゃん(=大野由美子)が、ムーグを重ねてくれたの。チェロとバイオリンは、最初は1本ずつ録ってたのね。でも、ZAKが「一緒に録った方が雰囲気が出る。だからそっちの方がいいな」って言って。一緒に録ったんだけど、そしたら雰囲気がばっちり合った。1本ずつ録ってた時は、生だからこその、微妙なズレが気になって。でも、まとめて録ったら、その微妙なズレも軽減されて、気にならないし、逆にいい感じになったんだよね。あたしの息で始る曲だから、あたしが指揮者みたいなもんで。演奏する時に、指揮者がいないと、いちいちそのズレを調整しなくちゃいけないんだよね。そうすると、空間の雰囲気が出なくなっちゃうんだよね。あったかい雰囲気とか、穏やかな雰囲気っていう、みんなのムードが出ない。だから1発録りが多いし、それも3回以上やんないようにしてるの。元々、私は、鼻歌が大好きで、できることなら鼻歌のまま温存しておきたいんだよね。本当は鼻歌で、私の100%を伝えたいんだけど、そういうわけにはいかないから。やっぱり鼻歌だと伝わらないじゃん!?それは、殴り書きが読めないのと一緒で、でも、殴り書きの状態をなるべくそのまま、なるべく鼻歌のまま表現したいって、いつも思ってるのね。実はこの曲ってね、モンキーズの「I wanna be free」の空気感が好きで書いた曲なの。空間としても、曲のイメージも、内容も全部、あの曲に影響されて書いた曲なんだよね。
M8.Joy
裕くんが書いてくれた曲。メロディーは一緒に考えたんだけど、裕くんがギターを入れといてくれたトラックを聴きながら"あ、こういうメロディ"が合うなと思って思いついたんで、これも、鼻歌ですね、作った時は。鼻歌でも、英語と日本語が両方出てくるんだよね。普段でも、頭の中には英語が出てきちゃってたりするから。だから、今こうして話している間もね、頭の中では、英語が出てきたりしてるの。鼻歌の時もそう。メロディーと合う言葉を探して、急に頭の中で英語で考えるんだよね。昔からずっと英語だったからね。シーガルの時なんて、全部英語だったから。ソロになってからは、日本語と英語の引き出し、自分で作ったんだけど、そしたら何か、時々、両方一緒に開いちゃったりするんだよね(笑)。しかも自分でも、どこが開くか、開いてみるまでわからないの。からくり箱、みたいでしょ?(笑)最近は、日本語の歌詞にもだいぶ慣れてきて、やっと違和感が無くなってきたかなぁ、と。今回のアルバム……特にこの「Joy」っていう曲は、素直に鼻歌で思いついて、出てきたものだからいいけど、前の『Born Beautiful』の時なんかは、英語で書いたのに、改めて日本語にするっていう曲もあったから、歌うのがすごく難しかった。ZAKに「日本語で歌うの下手やなぁ」とか言われて。「NEW LIFE」って曲なんか、日本語のところだけ、13回も録り直したりとかして。やっぱね、馴染んでないんだよね、歌と言葉が。だから、歌に関しては、自分で聴いててもややおかしい感じだったんだけど、ソロデビューして2年経って、やっとそれが無くなって来たのかなぁと思うな。
M9.fall apart
あたし、今回のアルバムって、それぞれのプロデューサーと、擬似恋愛してるようなものだと思ってるのね。音楽を通しての擬似恋愛なんだよね、他人にプロデュースを任せるってことは。で、ナカコーとの場合はね…まずは、あたしがデモテープっていうラブレターを出したの(笑)。それでその返事がきて、一緒にやることになったんだけど。返事……デモテープがどうなってたかっていうと、私はね、ギター1本で歌ったやつを届けたの。もう……ただそのまんまを渡したんだけど、そしたら、それが丁寧にラッピングされて返ってきたんだよね。聴いた瞬間「もう、これは時間おいてやりたくない!もったいない!」と思って、すぐスタジオ入っちゃって。そしたらあっという間にできちゃった、速かったよ〜。それですぐ歌録りもして、それもすぐにできちゃって。そんで「この曲、カッコいいから、ナカコーも歌ってよ」なんて歌わせて。そしたら、彼のボーカルがあまりにもセクシーで、そこでドキュ〜ン!みたいな感じだったな。もうね、その瞬間に、本物の恋に落ちたような感覚。フフフフフ。あれは、楽しかったなぁ、本当に。彼の作るトラックは、スムースですごく歌いやすかった。ナカコーくんって、他の人をプロデュースしたりとか、曲を書いたりとかっていうのも無いし、だから私にとっても、賭けは賭けだったんだけど、ばっちりだった。とても良かった。でも、向こうは……ちょっと怖がってたんじゃないかな、あたしのこと(笑)。
M10.mermaid
小山田くんとは「そのうち一緒に、なんかやろう」って前から言ってて。で、downyのライヴで、何年か振りに小山田くんと会ったんですよ。「久しぶり〜!」なんて話してたんだけど、その時、あたしいきなり「あたし今度ソロでさ、いろんなプロデューサーでやるんだけどやってよ1曲」つったら「うん、やるやる」って。「社交辞令じゃないからね、本当にやるんだからね」って念を押したら「わかった」って。それで後から正式に電話したら、本当にOKで。忙しいのにスケジュールも空けてくれたんだよね。そしたら「愛葉ちゃんが曲を持ってきてくれると、やりやすいんだけど」って言うから、もちろん持ってきますと思って。で、その日にできた「mermaid」って曲のデモを持ってったの。このデモがまた、ドラムにあたしのボーカルを乗せてるだけの曲で。音階とか、全然定かじゃないの。メロディーはほとんど変わんないんだけど、音階がどんどんズレていくっていう、すごい構成になってて。そういう構成にしたわけじゃなんだけど、なぜかそうなっちゃって(笑)。そしたら、小山田くんがすごく気に入ってくれて。「これいいじゃん!」とか言って、届けたその日にもう作り始めてくれたんだよね。この曲、最初から最後まで、同じフレーズが1個も出てこないのね。というのは、今、小山田くん自身が、そういう作り方に凝ってて。クラシックの練習曲みたいに、ワンフレーズずつ小指の音が増えていったりっていう、そういう感じでトラックを作ってくれて。でも、このトラックでどうやって歌うの? みたいな感じになっちゃって。そしたら小山田くんが、ギターでキーを弾いて、マニピュレーターの三島さんがキーボードをビヨ〜とか弾いて「これに合わせて歌って〜」って。どこで入るのかとか、全然わかんないのにだよ?(笑)それで、歌入れに6時間。あたし、歌入れ、すごい速いのね。でもこの曲は1日中やってた。小山田くんって、ピッチにすっごいうるさいの。小山田くんって、自分が歌うときも、ピッチをチェックする機械を見ながら歌入れするくらいだから、すごく厳しくて。あたし、ちょっと低くピッチをとっちゃう癖があるんだけど、歌っても歌っても「違う違う。もうちょっと。もうちょっと頑張って」とか言われて、30回も40回も歌わされて。もう〜っ!って感じで、泣くこともできず、笑っちゃうくらい、歌入れしました。しかもダブル、トリプルで入れてるところもあって。1回、癖を取って歌ってるから、重ねるのも、その癖を取って歌わなくちゃいけないんだよね。これは、本当にマジで大変なんだけど、それでも「もうちょっと、もうちょっと」って。もうこの人、絶対おかしいや〜と思いながら歌入れしてた。でも、後で聴くとすごく気持ちいいんだよね。もう芸術的。曲っていうよりは、むしろ、芸術作品だと思います、この曲は。
M11.Silly Girl (Album ver.)
 ZAKの表現力は、本当にすごいなぁ、と。元々この曲はね、♪Come on!♪から始る部分は、ニューヨークで録ってたの。この部分だけは「NEW LIFE」の時に既にあったのね。で、前半は日本で作ったの。後から付け足したから、切り貼りなんだよね、この曲自体が。2ヶ所で録って、差し替えたの。こんなこと、もちろん初めてのことだし、こんなことしちゃっていいのかさえもわからなかったんだけど、でも、何でもありかなぁって思う気持ちもあって。最終的には、まぁ、何でもありだな、と。で、できあがってみたら、7分以上あってびっくりしたんだけど、これがシングルになった時には、もっとびっくりした(笑)。「いいの?」って、何度も言っちゃったもん。「7分もあるから、ラジオで絶対にかからないよ?」とか言ってた。この曲は大好きだけど、でもやっぱり疑問だったもん。「シングルにするなら"Platonic"なんじゃないの?」って、何回も言ったもの。でも結局「Silly Girl」がシングルになったんだけど、今はそれで良かったのかなっていう気がする。「Platonic」がシングルになってたら、今回のアルバムのイメージ、全然違ってたと思うし。「Silly Girl」ってシングルがあるからアルバムとしての流れが自然なんだよね。2枚のシングルで、アホな夢見る女の子のあたしと、ドープなあたしと両極端見れたでしょ。だから良かったんだよね。だからアルバムで落とし前つくっていうか、ケジメがつくっていうか、答えがわかるって感じで、ちゃんと自然な流れになってるんだよね。そこがわかるまでね、自分自身もものすごく時間がかかった。作りながら、すごい時間かけて、やっとわかったって感じだもん。
M12.Dead Horse
downyチームと一緒に、ライヴ前に作った曲。あたしのバンド魂が入ってる。もう……もろに、ニューウェイヴとか、パンクが入ってるよね(笑)。で、あたしの個性的なところが、面白おかしく表現できた作品でもあります。フフフフ。もう、歌詞とかすべて否定形なんだけど、この曲を作った時、ちょうどイライラしてた時期で。よく「風邪ひいたかも〜」とか言いながら、病院にも行かずに、薬も飲まないで、ぐずぐずしてる人とかいるでしょ。「風邪ひいたかも。でも風邪じゃないかも」とかいうのを理由に、いろんなこと放棄してたり、何かしちゃったかもとか言いながら、まったく相手には何も聞いてない人がいたりして。だからイライラしてたんだよね。もうね、正直、言葉を選ばないで言えば……「死んじゃうかもとか言ってる人間は、死んでからそう言え!」とか思ってたんだよね。だから、歌詞がすごいストレートなの。喜怒哀楽だったら完全に"怒"の世界……っていうか、むしろ、怒りのみ、みたいな。ものすごく怒ってる。だってタイトルが「死んだ馬」だもの(笑)。リフとかも歌と一緒に思いついたのそのまま使ってるから、全部簡単たし。シーガル時代は、本当に"怒"で書く曲ばっかりで。というか"怒"しかなかったから。とにかく怒って怒って。海外でライヴするんでも、ライヴハウスのスタッフとかとやりあって、そうして草分け的な存在になっていったバンドだったからね。今から10年くらい前の話になるけど、あの頃は、本当にいつも怒ってた。怒らないとやっていけなかったの、本当に。最近は、本当にそういう……怒って怒ってっていうのが無くて。無いから、時々アンバラ ンスになったりするんだけど。今でも、ちゃんと怒ることはできるのよ? でも怒って死守しなきゃいけないものっていうのが、今は無いから。もし、日暮愛葉という人間が危機に立たされたら、絶対怒るし、何でもするけどね。でも今んとこは、アルバム作ったりとか、ライヴしたりとか、そういう中での揉め事は無いから。クリエイター同士だからね。それはいいことだと思うな。よりクリエイティヴになったってことだから。
M13.Good Morning Everyone
最後の最後に目覚めてんだよね(笑)。夢なのか、何なのか、旅行なのか、いろんなことから目覚めちゃったわよ、っていうね。このアルバムの中で起こってることは、普段の私の生活の中にもあって。アップダウンも激しいしね。今回のアルバムのような感情の……感情っていうのとはちょっと違うんだけど……なんていうのかな…… バイオリズム?バイオリズムの変化が、普段の生活の数時間のうちに起こることもある。そう考えると……私の毎日って、大変だなぁ。わりかし大変(笑)。大変だけど、大変だからといって、怒り続けてたら、多分あたしは今生きていないと思うんだよね。やっぱり、ソロになって、自分のやってることを噛み締めながらやる時間があるじゃない?そうすると……こういう、アップダウンもそれなりに受け止めていけるんだよね。すごく若い頃は、アップダウンをすっ飛ばすっていう方法もあったんだけど、そうすると、どっかで無理がくるんだよね。だから、こういう……怒りじゃない、まったく別の軸があってもね、いいと思うんだ、生活の中には。最後に持ってきたこの曲は、愛がいっぱいの曲。慰めてるもんね♪哀しいなんて言わないで♪とかって。あはははは。余裕すら見せてるよね、改めてこうやって振り返ってみると。
SPECIAL.2
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