ふろむぷろでゅーさー


プロデューサーから愛をこめて

「ポホロクロイス物語」「アークザラッド」「ワイルドアームズTV」と続いた 『SCE3大RPG(と、ゲーム発売当時にプロモーションしていたのだよ)』 のアニメ化という大事業もようやく完結を迎えました。応援してくれたみなさ まに篤く御礼申し上げます。
 思い起こせば、実働2年半、放送期間1年半という長いような短いような年 月でした。特に「ワイルドアームズTV」はアッという間に終わってしまった ような気がします――って、「WATV」は全22話でしたからねえ、当初は全 26話の予定だったのに……。
 ということで、実は絵コンテ、シナリオ、シノプシスなどなど途中まで進ん でいた残り4話のお話などをここでご紹介いたしましょう。ホントはシナリオ を載せたいところですが、著作権の問題等がありますので、概略だけでご勘弁 ください。
 はぶいたのは、シリーズ前半のような1話完結話です。これをオンエア話数 でいうところの、第12話「ライ・ライラ・ライ」と第13話「ララバイ・オブ・ ノーブルレッド」の間に2本(とりあえずA話&B話としておきましょう)、第 15話「ナチュラル・ボーン・エンジェル」と第16話「フェイタル・ゴッデス」 の間に1本(これはC話)、第16話と第17話「チャイルド・アット・ハート」 の間に1本(当然D話ですね)入れるつもりでした。
 後半、連続物のような感じになってしまいましたが、本来は主筋を追うだけ ではなく、寄り道話が結構あった訳です。当初の予定通りだったら、また、ず いぶんと印象の違ったシリーズになっていたことでしょう。
 では、早速、それぞれの内容説明を簡潔に……。

 まずはA話。ライラを失った哀しみからか、シャイアンの体調に異変が起こ る。もの凄い高熱で意識不明の重体になってしまったのだ。通常の薬では治す ことのできないシャイアンの義体。唯一の望みは霊峰の頂上付近に生息してい るという植物ガーディアンのエキスであった。一方、ロレッタたちも植物ガー ディアンを捕獲するため、霊峰に向かっていた。そこでロレッタたちが見たも のは、植物ガーディアンを守る一体のゴーレムであった。

 次はB話。ロレッタ一行は草原のど真ん中の小さな駅舎で、馬車の到着を待 っていた。吹き寄せる風の中に、アイザックの匂いを嗅ぎつけるジルーシャ。 早速、捜し始めた三人は野井戸の中に落ちてしまう。しかも、その井戸の中で はシャイアンたちがドンチャン騒ぎに興じていた。この井戸こそ、落ちた者に 幻覚を見せるというジハド時代のトラップ兵器「思考地雷」だったのだ。果た して、ここから脱出することはできるのか? 鍵を握るのは、風ミズミのハン ペンと名乗る小動物なのだが……。

 そして、C話。とある町の酒場で、シャイアン一行は女一人、男二人の三人 組のならず者と遭遇する。しかも、その内の一人は自分のことを「シャイアン・ レインストーム」と名乗っていた。町を脅かすモンスターの群を退治すること と引き替えに、巨額の金を要求するニセのシャイアンたち。怒りに震えるシャ イアンを制するキール。ニセ者たちの目的は何なのか? 果たして、モンスタ ーを退治することはできるのか?

 最後に、D話。雪山の中腹に位置するその町は、常に雪男モンスターの驚異 にさらされていた。モンスターを押さえることができるのは、ロゴジ11世とい う宗教教団のリーダーただ一人。さすがのロゴジも寄る年波には勝てず、後継 者を物色していた。そこに現れたのが、シャイアン。きれいなオネーチャンや ご馳走責めに遭い、心が大きく傾く。実はロゴジもモンスターを操ることので きるアームズ使いで、本当は悪い奴なのだが……。

 と、こんなお話が用意されていた訳です。
 いろいろなエピソードを考えている内に、こんなことが思い浮かびました。 自分の身体を求めてファタリテに向かうシャイアンたちの旅は、お釈迦様の悟 りを求めて天竺に向かう玄奘三蔵の旅と同じようなものじゃないかと……。  つまり「WATV」は「西遊記」な訳で、いくらでも物語が続けられる訳で す。ここから先はみなさん一人一人が語られなかったシャイアンたちの旅を夢 想してみてください。
 では、また、どこかでお会いしましょう。

長崎行男




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